1. 難病情報誌 アンビシャス 200号

難病情報誌 アンビシャス 200号

最終更新日:2019年01月04日

 

通巻200号記念のご挨拶

沖縄県難病相談支援センター アンビシャス
理事長 迫 幸治

 平素は、格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。難病情報誌「アンビシャス」通巻200号記念誌を発行するにあたり御挨拶申し上げます。アンビシャスでは平成14年2月にNPO法人として発足以来、難病の方やそのご家族及び関係者を対象として難病情報誌『アンビシャス』を毎月発行してまいりました。
 同誌は難病の方自身の体験談を中心に幅広く難病情報や患者会情報等を取り上げ、沖縄県内のみならず、広く県外の方にもご愛読いただいている情報誌となっています。
 発行当初はコピー機を使用したミニコミ誌的な内容でしたが、難病をお持ちの方の体験談の掲載、交流会の案内等、読者の皆様の声を可能な限り反映させ、内容の充実を図ってまいりました。その間、アンビシャスの活動内容も平成17年の沖縄県から沖縄県難病相談支援センターの受託、平成21年、県内初の認定NPOとして認可。NPO組織としての内容の拡大と相まって、難病情報誌「アンビシャス」もその節目、節目で、有用な情報を提供できたと自負しています。
 通巻200号記念誌に至るまでの過程では行政をはじめ企業や多くの情熱のある個人の皆様からのご支援、ご助言をいただきました。ここに改めて深く感謝申し上げます。

 私どもは難病に関係する皆様の情報誌として、さらに充実した誌面作りを図って参ります。
 今後ともなお一層のご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

沖縄県難病相談支援センター アンビシャス
副理事長 照喜名 通

 難病情報誌「アンビシャス」が200号となり、改めて身の引き締まる思いがしています。
 創刊時、難病といえば、健常者でも、障がい者でも無く、一般の方にはほとんど知られていない状況でした。難病に関する情報も少なく、難病を持つようになった本人や家族は悩み孤立していました。当誌はその様な方々を孤立させてはいけない、何とかしなければとの思いからスタートしました。
 誌面を通して、他の難病を持つ人がどんな生活をし、どのように受け止めているのかを共有できていると思います。苦しい思いをしているのは自分だけでは無い、自分より苦しいと思われる人がこんなにも元気そうにしている。ならば、自分も頑張れる。と感想を頂くことは少なくありません。
 エビデンスとして効果測定は出来ませんが、当誌の顔である体験談の投稿者の皆さまのお蔭で、明らかに難病に対する沖縄の現状は変わってきたと感じます。体験談をお寄せ頂いた皆様に誌面をお借りして御礼申し上げます。
 またご祝辞を賜りました、沖縄県保健医療部 地域保健課課長 山川 宗貞様、独立行政法人国立病院機構沖縄病院脳・神経・筋疾患研究センターセンター長 諏訪園 秀吾様に厚く御礼申し上げます。併せて広告のご協賛を頂きました企業の皆様にも御礼申し上げます。
 当誌はご愛読頂いている読者の皆様のご支持に支えられ、今日まで継続する事が出来ました。ここに深く感謝申し上げます。今後ともご愛読をお願いします。

通巻200号記念御祝辞

沖縄県保健医療部 地域保健課
課長 山川 宗貞

 このたびは、難病情報誌「アンビシャス」が200号の節目を迎えられ、特別記念号の発刊となりましたことを心よりお慶び申し上げます。
 認定NPO法人アンビシャスにおかれましては、難病の患者及び家族はもとより、県内各地の関係機関に対し、きめ細やかな相談対応や情報提供等の活動を行っておられます。
 その活動において、情報誌「アンビシャス」の発行は難病に関する取組の紹介の他、難病患者の声を読者に届けるなど難病に対する関心を高め、難病患者さんが地域で尊厳を持って生きることのできる社会構築に重要な役割を果たしております。また、難病相談支援センターとして培ったネットワークを活用し、情報誌が県内外の広範囲に届けられることで、多くの人・関係機関がつながり、より効果的な啓発や支援拡大が図られているものと思われます。
 指定難病対象疾患の拡大に伴い、多様なニーズへの対応が求められるなか、様々な難病情報を提供し、難病患者のよりどころになっている情報誌は今後さらに需要が高まることが予想されます。
今後も沖縄県難病相談支援センターとして、難病患者の療養生活支援にご尽力下さいますようお願い申し上げます。
 結びに、200号まで継続発行されたことへ敬意を表すとともに、今後の貴法人のさらなるご発展を祈念申し上げ、記念特別号のあいさつと致します。

独立行政法人 国立病院機構沖縄病院 脳・神経・筋疾患研究センター
センター長 諏訪園 秀吾

 私は独立行政法人国立病院機構沖縄病院脳・神経・筋疾患研究センターのセンター長を勤めさせていただいております、諏訪園秀吾と申します。当院は、沖縄県で唯一の難病医療拠点病院に指定されております。県主催の「難病医療連絡協議会」という組織で、アンビシャスと連携しつつ、難病患者さんの相談事業や、重症難病患者さんの入院施設確保事業などを行っております。このようなご縁から、この記念すべき号において祝辞を述べさせていただくことになったかと拝察いたします。

 継続は力なり。200号という偉大な足跡に心からの敬意を表します。患者さんたちの生き様とそれを取り巻く様々な人達の活動を温かい視線で残していくことは、それだけで非常に大きな財産です。難病を持ちながらも様々な情報発信をなさる患者さんの生命力を感じさせていただきつつ、毎号楽しみに読ませていただいております。

 これからも当院とアンビシャスは連携を維持強化しつつ、沖縄県の難病患者さんのために活動を継続していくものと思います。その中で、この情報誌がこれからも多くの人々の活力の源になり続けていくことと思います。益々のご継続・ご発展をお祈り申し上げお祝いの言葉とさせていただきます。

たくさんの方のご協力のもと、おかげさまで200号、
難病情報誌『アンビシャス』の歩み

読者の皆様に支えられ 通巻200号

沖縄県難病相談支援センター アンビシャス事務局長 仲村 明

 皆様に支えられ難病情報誌「アンビシャス」も200号を迎えることになりました。読者の皆様には毎月ご愛読を頂き深く感謝申し上げます。
 当誌はその折々、皆様からのご意見を反映させながら、内容の拡充を図り、読者の皆様と共に歩んでまいりました。
 また、200号に至るまで長きに渡り発行が継続できましたのは、多くの賛助会の皆様の会費やご寄付によるものです。これまでのご支援に改めて深く感謝申し上げます。その他、会報誌制作に当たり、左記にご紹介する皆様方にも裏方として支えて頂きました。この誌面をお借りし御礼申しあげます。
 アンビシャスは今後も皆様に愛され、必要とされる情報誌を目標に、皆様からのご提言を頂きながら、誌面の充実に努めてまいります。今後ともご支援の程よろしくお願い申し上げます。
 最後になりましたが、200号の発行にあたり平素のご支援に加え、多大なる広告のご協賛を頂きました法人の皆様。お陰様でこのように素晴らしい記念誌が出来上がりましたことを厚く御礼申し上げます。

創刊号から200号まで主な出来事

2002.1/18 Vol.1 難病情報誌「アンビシャス」創刊
2004.6月 Vol.26 「表紙は語る」スタート
2007.9月 Vol.65 音声版スタート
2010.8月 Vol.100 通巻100号発行、メールマガジン配信開始
2013.8月 Vol.136 ホームページ用PDFカラー化
2014.6月 Vol.146 表紙のカラー化スタート
2019.1月 Vol.200 通巻200号発行

制作協力者

■記事寄稿
[エッセー]
 西兼盛 鉄 様(ALS当事者)
 浦崎 綾乃 様(ALS当事者)
[映画情報・占い]
 渡久地 優子 様(FOP当事者)

■音声版読み上げ/
 小波津 正光様(患者家族・お笑いタレント まーちゃん)

■ホームページアップ/
  照屋 朝子 様(MCTD当事者)

■編集者/
 比嘉 晶子 様(SLE当事者)

■会報誌折曲げボランティア
児童発達支援・放課後等デイサービス
就労継続支援B型事業所
「あるにこ」様

「アンビシャス」誌の通巻200号を祝って

慶應義塾大学教授 加藤眞三

 沖縄の難病情報誌「アンビシャス」が200号を迎えられることお祝い申し上げます。この情報誌が素晴らしいのは、インターネットにのせて全国の人に読んでもらえるようにしていることです。そして、本誌を発行する母体が沖縄県難病相談支援センターでありながら、行政から独立した組織であるところも素敵です。それを支えてくれる土壌が沖縄にはあり、その土壌に種をまいて幹を育てている皆さんの情熱があるからこそだと思います。
 これからも自律する患者会として全国の難病相談支援センターのお手本となる活動をどうぞ継続してください。わたくしも側方から支援すると同時に、このような活動が全国に花開くことを祈念致します。

臨床心理士 鎌田 依里

 アンビシャス会報誌通巻200号記念、誠におめでとうございます。
 この喜ばしい時にご一緒できることをこころより嬉しく思います。いつも会報誌を拝読し、難病を抱えて生きる方の優しさと強さを感じています。そして毎回、たくさんのことを学ばせていただいております。
 難病を抱えて生きているからこそ、同病者の力になれることがあると思います。また、難病を抱えていないからこそ、難病を抱えて生きているひとの力になれることもあると思います。立場は違えど、同じ志を抱いているひとが集まることのできる場がアンビシャスだと思っております。共に生き、共に悩み考え、共に喜びをわかちあえる、そのような場で在り続けられるよう祈念しております。

記事寄稿者代表 渡久地 優子

 200号おめでとうございます。
アンビシャスとの出会いから早いもので12年。
色んな難病と其々の生き方と感じ方があります。
本誌は、患者だけではなく、読者の多くの皆様に、希望や勇気や元気を送っていると思います。
 これからも、誰かの役に立ち続けられるよう、アンビシャスの活動を応援しています。

 

表紙は語る

リンパ浮腫ゆんたく会を通じ共に前進

喜納 美和(きな みわ)さん
先天性リンパ浮腫を持つ子の母親として

「あれ?このむくみは何?」息子の左足の甲の浮腫に気付いたのは生後14日目の事でした。
 2013年11月待ち望んだ第二子。お兄ちゃんは「僕に弟ができた!!」と新生児室のガラス越しにキラキラした目で見つめてました。優しく輝く人生を歩んで欲しいと「優輝」と名付けました。
 左足の甲だけのむくみ。虫刺され?明日には引くのかな?不安は募るばかり。生後一ヶ月検診の時や県内の小児科を数件受診するも「原因不明…」益々不安になる日々。何か原因はあるはず。何故わからない?とお医者様に苛立つ事もしばしば。
 そんな中、初めての※蜂窩織炎(ほうかしきえん)を起こしてしまったのは生後八ヶ月。7月の真夏の沖縄。発症の前日、防波堤で遊び、蒸し暑さで左足首を掻いていました。40度の高熱と左足甲から足首上部にかけ発疹。真っ赤に腫れぐったり。即、救急外来へ急ぎました。
「左足首から細菌が入り増殖して炎症を起こしてます」そこは県内でも大きな総合病院でしたのでむくみの原因を徹底的に調べてほしいと懇願しました。様々な検査を重ねるも、やはり原因不明。
そんな時出逢った小児科のお医者様が「不安ですよね。私が以前勤務していた県立病院にリンパ浮腫外来があります。私は専門医ではないのでわかりませんが紹介状を出します」と話して下さいました。リンパ?重病?診察室で次男を抱きながら主人と不安で泣きそうになりました。紹介状を片手にすぐにリンパ浮腫外来を受診。検査入院となりました。検査は両足の指の間から放射線物質を注射しリンパ液の流れをみる造影検査。息子が検査室に入った後、主人と「これで原因がわかったら治療して浮腫が取れて楽になるね!」とお互いに言い聞かせるように話しました。
 検査終了後「左足のリンパ管が途中で途切れてない状態です。原因不明の原発性リンパ浮腫です。完治はなく一生のお付き合いになります」と結果を言われました。さっきまで主人と話してた事とは真逆の結果。生後一才三ヶ月の事。その日以来、私達家族の頭の中からリンパ浮腫という言葉が消えた日はないのです。
すぐに弾性ストッキングによる圧迫が始まるも子供なので、きつさからすぐに脱ぎたがりました。保育園でも「足のない子」とからかわれたりもしました。本人がまだ幼く言葉がわからなかったのが幸いでした。その頃両足の甲の差は1cm。よく転んだりもしていました。このままではこの子の体と心はどうなるんだろう。私がリンパについて学ばなければ!と奮起してリンパスクールへ通いました。
 そこで沢山のご縁を頂き息子が三才の時、県外の病院でより詳しく検査する事にしました。我が子の体の中で何が起こってる?知りたい一心でした。すると、「左足だけじゃなく右鼠径部のリンパ管も細く発症してないだけで右足もリンパ浮腫です」との結果。両足がリンパ浮腫。一瞬頭が真っ白になりました。それからは毎晩両足のマッサージを欠かさず実践。現在五才の息子は幸い重症化する事なく自分で足のマッサージが出来るようになってます。これまでの5年間、10回以上蜂窩織炎(ほうかしきえん)で入院を繰返しました。2018年4月原発性リンパ浮腫が小児慢性特定疾病に認定されました。これを機に保健所、県内のピアサポートセンターやアンビシャスへ県内の小児リンパ浮腫患者様が何人いるのか?を調べてもらいましたが、「県内で同じ病の小児の登録は0人、大人を含むリンパ浮腫患者会もないです」との事でした。「リンパ浮腫の皆さんどの様な日々を過ごしてるのかな?」「弾性ストッキングはどうしてる?」「不安はない?」「もう患者会がないなら作ってしまおう!!」と更に奮起、まずは交流会から。
 2018年11月24日「第1回リンパ浮腫患者様ゆんたく会」を開催しました。患者側からの発足という事もあり、告知にはすごく困りました。私だけでは不安なので、息子の病を通じお友達になったリンパ浮腫専門看護師の友人と、友人の看護師2名にもご協力頂いての開催。集まって下さった5名の方。日々の悩みや、ケア方法を沢山話してくださいました。「また開催してください」と嬉しいお言葉も頂きました。そしたら参加者様の中に二才の男の子を連れたお母さんが。「お母様が患者様ですか?」と伺うと「いいえ息子がリンパ浮腫です」と。私は涙が出るのをグッと我慢するも、ポロポロ溢れ出る。
 息子にも同じ病のお友達が現れました。ずっと待ってました。「靴はこうして、サポーターはこうして」と写真を見せて下さいました。「どうしていいかわからないんです」とうつ向かれました。「そうだよね…」5年前の私がいる。不安で頭の中真っ白な私がここにいる。
「来てくれてありがとう。これから交流しよう!明るく乗り越えて行こう!!母ちゃんだから」
と二人で話しました。すぐ命に関わる病ではない。でも無限の可能性を秘めた将来のある子供達に少しでも充実した人生を歩んでほしい。私が産んだ子供だから私に責任がある。何度も思いました。でも、下ばかり向いてたら子供も真似て下を向いてしまう。母ちゃん強くならんとね!!
 息子は現在幼稚園に通っています。運動会のかけっこは左足を引きずりながらも完走しました。今では最初に紹介状をくれた小児科医、浮腫を通じ出逢えた皆様、家族、日々応援して下さる皆様に大変感謝の気持ちでいます。皆様からの暖かい思いを忘れずに、息子の成長と共にこれからやってくる課題を楽しみながら浮腫に負けず前進して行きます。二才のお友達と、これから出逢うであろう小児原発性リンパ浮腫の子供達と共に。

※2019年も「リンパ浮腫ゆんたく会」を開催予定です。ゆんたく会には成人のリンパ浮腫の方、術後に発症したリンパ浮腫の方も歓迎です。 是非お越しください。

蜂窩織炎とは
 皮膚の深い層から皮下の脂肪組織にかけて細菌が感染し、炎症を起こす病気です。細菌に感染すると、その部位が腫れて赤くなり、痛みが生じます。

  • 初めての運動会 (祖父母と)

  • 両足

  • 母と

10月の報告あれこれ

全国難病センター研究会

 11月3、4日に北海道にて開催された全国難病センター研究会に参加してきました。この研究会は年2回全国各地で開催されており、今回で第30回目となります。難病当事者の方や難病相談支援センター職員、各関係機関など難病の支援や相談に関わる方々の知識、技術などの向上を目的とした研究大会です。
 今回の研究会では照喜名が平成24年度から沖縄県より受託している「非常時電源確保事業」に関する発表を行いました。本事業を受託した経緯や現在の支援状況、支援を通して見えてきた課題について報告を致しました。
 また、研究会に参加したいが様々な理由で会場まで行くことが難しい方のために、ネット上(Ustream)で同時配信も行っております。その際、撮影した映像を編集し、DVDも作成しています。
 その他、5年保存の災害備蓄用パンをサンプルとして頂きました。試食してみると長期保存用とは思えないほど、とても美味しいパンで備蓄用の食品としてぜひ準備したい一品です。

医療相談会(下垂体系疾患)

 今年度より琉球大学附属病院の池間 朋己先生のご協力を頂き、初めての下垂体系医療相談会を11月12日に実施致しました。
 池間先生は去年沖縄で初めて実施した下垂体系医療講演会で講師をされており、下垂体系の情報が少ないことも有り、その場でご要請、快諾を頂き今回の医療相談会が実現しました。
 「処方された薬をきちんと飲んでいるが、効いている感じがしない。このまま飲み続けるべきか他の医師の話を聞いてみたかった。」「数値が高いため治療が必要と言われたが、自覚症状もないのに治療しなければいけないのか?」といったご相談がありました。一つ一つの質問に丁寧にお答えになられており、参加された方から「ゆっくりお話しを聞くことが出来て良かった。安心しました。」といった声がきかれました。
 池間先生、お忙しい中ありがとうございました。

ヘルプマークが導入されました!

 11月から沖縄県でもヘルプマークがスタートしました。県からアンビシャスでも案内して欲しいとの要請があり、ホームページや会報誌などで案内を行っております。
 ヘルプマークの記事を見たテレビ局から取材の依頼があり、実際にヘルプマークを利用している方のお話しも伺いたいということで、膠原病友の会の阿波連さんをご紹介させて頂きました。夕方のニュースで取り上げられ、実際にヘルプマークを身に着け、ゆいレールを利用する阿波連さんの姿やヘルプマークの紹介、また照喜名からはヘルプマークの周知を求める提言をしました。
 まだまだ沖縄県内ではあまり知られていないヘルプマークですが、今後もアンビシャスとしてヘルプマークの認知度の向上と普及拡大に努めて参りたいと思います。

※ヘルプマークご希望の方は、お住いの市町村福祉関係の窓口でお求めください。

こころの現場から

「家族とは」

鎌田依里

臨床心理士 鎌田 依里(かまだ えり)

 新年明けましておめでとうございます。皆様にとって、幸多き年になるよう、こころより祈念しております。今回は「家族とは何か」について考えてみます。
 皆さんは、「家族」と聞くと何を思い浮かべますか?温かい食卓を囲んで団欒すること、困ったときに助けてくれること、一緒に楽しく旅行に行くこと等、家族というものにポジティブな感情を抱いているひとも多いです。一方で、家族に恵まれなかったひとも少なくありません。愛されるべき存在の子どもが、様々な要因が重なることによって「自分は生まれてこなかったほうがよかったのではないか」と、自分の存在価値を根底から揺るがす疑問を抱いてしまうこともあります。このように思ったひとは、次の世代に見返りのない愛情を注ぐことが難しい傾向があります。しかし努力をして次の世代に惜しみなく愛情を注いでいるひともいます。里親・里子や養子縁組や、血の繋がりのない家族もあります。「家族のような繋がりだ」とか「家族以上の関係だ」等としばしば言うように、家族の質は様々です。
 家族の在り方は、個人に深刻な影響を与えます。自分の家族を振り返り、自分がどのように感じてきたかを改めて考えてもよいかもしれません。そして、ひととの望ましい繋がりとはどのようなものであるかを考え、できるだけ素直に愛情を注ぐことができる家族の在り方を見いだしてみるのもよいでしょう。親であるあなただからできること、子であるあなただからできること、配偶者であるあなただからできること等、あなたにしかできないことがあるはずです。あなたにしか救えないひともいます。ふとそのようなことを思いながら家族と接してみてもよいかもしれませんね。

つぶやきチャンプルー

「不闘で、今にのみ意識を制御する」

照喜名通

著:照喜名通

 先日、保健所から「難病のある人のための就労講演会」の中で、難病を持ちながら就労をしている先輩としての体験談を依頼され、恥ずかしながら、私なりに波乱万丈な経験をお話ししました。
 全国難病センター研究会等で、全国の相談センターの相談員や、医師を含めた多職種の方への発表を今月だけでも2回行いましたが、難病患者さん向けに講演をする機会は意外と少ないのです。
 事前アンケートでは、難病患者はどんな生活をしていますか?難病患者は働けるのですか?との質問が多く、恐らく難病患者との交流や情報交換をしていないのでしょう。医師から病名や治療方法は説明されているのですが、在宅で暮らしていく生活全般の話を知らないのでしょう。インターネットやテレビからの情報だけでは身近に感じないと思われます。
 また、その背景には中々受容できず、敗北感で本来の自分の力を見失っているのではとも思えてきます。
 治療方法が確立して無く、長期の療養が必要な事が、法律でいう難病なので、簡単には勝てない長期戦なのです。闘わずして、失ったものを見るのでは無く、今ある残されたものに感謝して、毎日生きている事や出来ている自分を褒め自信を持って生きていきたいものです。
 難病と闘わず、足るを知り、過去も未来もこだわらず、今のこの瞬間に意識を集中し、難病などコントロールしちゃえ!!

シリーズ 「患者学」第45回

自己肯定感をもつためには

慶応義塾大学看護医療学部 教授 加藤 眞三著

 第50回の公開講座患者学では自己肯定感が後半にワールドカフェスタイルで対話をするためのテーマとなりました。今回はその対話の中でわたしが考えさせられたことを述べたいと思います。

 公開講座前半の話題提供の中で、講演者が「アート療法の一つとして生け花を経験したときに、自分の好きな花を自分が選んだ花瓶に自分の好きな形で花をいけることにより、自己肯定感が上がってくることを感じた」と話したことがきっかけになりました。教育関係の出版社につとめるある参加者は、「日本の学生は世界各国の若者に比べて、学業成績はよいのに自己肯定感が低い」と発言したので、この自己肯定感は病気と一体どう関係するだろうと、後半の対話のテーマとなりました。
わたしは自己肯定感が高い方がよいことと考えていたので、ある参加者が「自己肯定感の高い人って嫌だよね」と発言したことは衝撃的でした。どうも、自己肯定感の強い人は、自我ばっかりが強くて周りとの調和を乱す、あるいは自分の自慢話ばかりしたがる困った人という印象があるようです。自己肯定感が高いと思われる人が、そんな行動を示したということなのでしょう。日本では「和を以て貴しとなす」の考えが根強く、調和を何よりも重んじられがちです。したがって、「あの人は個性的ね」と言う言葉も、ある種の悪口として使われることが多いのです。
 その辺が、日本の学生の自己肯定感が低いことと関係しているのではないでしょうか。つまり、周りに合わせること、自分を押し殺すことが良しとされる教育が行われているのです。同調圧が強く、自分を出さないことが良しとされる中で自己肯定感が育つわけがありません。
 対話の中で、ある参加者が、子供の頃から成績のよい姉と比べられて育てられたために、ただでさえ自己肯定感が低かったのに、病気になって自己肯定感がさらに下がったと発言されていたことが印象的でした。自己肯定感が低くなると患者の力は発揮できません。今までの医療では患者の力など無用のものとされてきた歴史もあったでしょうが、これからの医療では自己肯定感が高くて患者の力を発揮することが必要とされます。
 それでは自己肯定感はどのような人で高くなるのでしょうか? 自己肯定感は小さいときから親などにほめられて育った人で高いのではないかという意見もありました。一方で、わたしは自分のやっている研究がずっと周りの人から評価されなかったので、何クソと続けてきたから自己肯定感を持てるようになったという人もいました。
 他者からの評価は人が育つ上で当然大きな影響を与えるでしょうが、それはネガティブな評価でもポジティブな評価であっても、自己肯定感を育むのではないかと考えている人がいることが不思議に感じられました。そして、そもそも、自己肯定感は他者からの評価ではなく自分自身の評価の上に生きる感覚をさすのですから、なぞはより深くなります。

次号に続く


東洋経済オンラインに加藤先生による「市民のための患者学」2週間ごとの連載スタート!
http://toyokeizai.net/articles/-/143366

慶応義塾大学看護医療学部
教授 加藤 眞三
1980年、慶應義塾大学医学部卒業。1985年、同大学大学院医学研究科修了、医学博士。
1985~88年、米国ニューヨーク市立大学マウントサイナイ医学部研究員。
その後、都立広尾病院内科医長、慶應義塾大学医学部内科専任講師(消化器内科)を経て、現在、慶應義塾大学看護医療学部教授(慢性病態学、終末期病態学担当)。

患者の力: 患者学で見つけた医療の新しい姿
出版社: 春秋社

「患者には力がある!」 毎日を健康に生きるために、そのためにも、真の患者中心の医療を実現するために、いま必要なこととは。

アンビシャス広場

~エッセイ~ 「モアイ」 西兼盛 鉄さん(ALS)

9月23日3時からモアイを開催しました。
場所は、去年新築した僕の家。
メンバーは20歳の頃から今現在61歳まで31年続いている。
モアイ仲間9人、僕もその中の1人です。

1年ぶりに顔見て楽しく、2人は酒を飲みすぎて、
ベロベロに酔っておいしかったはず。
残りの仲間はビール、僕もビール2本。
みんな盛り上がっている途中で僕の腹具合が悪くなってしまい、
そこでモアイはおしまい。

※モアイ(模合)…
 沖縄独特の親睦を兼ねた相互扶助システム。
 毎月、決まった金額を集めて、それを順番に毎月メンバーの誰かがもらうという仕組みです。

難病川柳・難病短歌

難病がある方や家族の方、サポートする方々で日常感じている悲しみ、辛さ、笑い、皮肉や優しさなどを短歌・川柳にしてご応募ください。
採用の方には寄稿料として千円相当のクオカードを進呈します。詳細は事務局までお気軽にお問い合せください。

難病川柳
夜寝ない ネトゲ依存で 新やまい
作:懲りないMenMenさん(クローン病)

ネットゲームにはまり、不眠症という病が新たに加わる

難病短歌
耐えても すぐに倒れる ヨガポーズ 出来たポーズは 猫背と仰向け
作:樹々さん(パーキンソン病)

ヨガ教室に参加した一コマ。
あぐらひとつ組めず、体幹の悪さ、固縮に気づきました。

お勧め映画情報

「グレイテスト・ショーマン」

ヒュー・ジャックマン主演
ミュージカル映画。

CM等で見ていた印象とは違い、凄く良かった。
あらすじを知らずに観たのが、功を奏した感じ。
良い意味で、裏切られました。
ということで今回はストーリーは申しません。
誰かが勇気づけられる作品かもしれません。

★渡久地 優子{進行性骨化性線維異形成症(FOP)}★
・・・カラーセラピーやパワーストーンも好きで、時々、ネットで見てます。

今月の占い

  • 牡羊座 3/21-4/19
    整理整頓で心をスッキリ
    ☆リフレッシュ法:睡眠
  • 牡牛座 4/20-5/20
    癒されるモノを見つけて
    ☆リフレッシュ法:深呼吸
  • 双子座 5/21-6/21
    生活環境を変えてみて
    ☆リフレッシュ法:散歩
  • 蟹座 6/22-7/22
    他人よりも自分を変えて
    ☆リフレッシュ法:音楽
  • 獅子座 7/23-8/22
    笑顔で終われる行動を
    ☆リフレッシュ法:買物
  • 乙女座 8/23-9/22
    振り回されない強さを
    ☆リフレッシュ法:映画
  • 天秤座 9/23-10/23
    生活の乱れに気を付けて
    ☆リフレッシュ法:食事
  • 蠍座 10/24-11/21
    希望や楽しみを見つけて
    ☆リフレッシュ法:歌唱
  • 射手座 11/22-12/21
    許せる心意気を持って
    ☆リフレッシュ法:読書
  • 山羊座 12/22-1/19
    横柄な態度に気を付けて
    ☆リフレッシュ法:談笑
  • 水瓶座 1/20-2/18
    自分らしくを考えてみて
    ☆リフレッシュ法:瞑想
  • 魚座 2/19-3/20
    有言実行できる事の目標を
    ☆リフレッシュ法:運動

編集後記

※200号記念特別号につき今月のみ若干のページ構成変更がございます。
『患者団体からのおたより』と『編集後記』はお休みとさせていただきます。