1. 難病情報誌 アンビシャス 283号

難病情報誌 アンビシャス 283号

最終更新日:2025年12月01日

表紙は語る

病気は「人を想うこと」「自分を大切にすること」を教えてくれました

叶 雅美(かのう まさみ)さん
潰瘍性大腸炎

 私が潰瘍性大腸炎を患ってから今年でちょうど10年目になります。初期の症状としては、下痢、粘血便、腹痛などがありました。日に何度も便意をもよおすため、常にトイレの場所を気にする生活でした。病院で診てもらっても痔の薬を処方され、全く改善されず…。そこで、別の病院で検査したところ潰瘍性大腸炎であることが判明しました。医師からは「潰瘍性大腸炎は完治しない国指定の難病です。しかし薬を使うことで症状を抑え、日常生活を送ることができます」と説明を受けました。そのときの私の心境はショックというよりも「病名と治療法、対処法が分かってよかった」というものでした。「一体、私の身体はどうなってしまったの?何が起こっているの?」という正体のわからない不安を抱えながらの毎日に終止符が打てたのです。
 実は、大病を患うのは2度目でした。潰瘍性大腸炎になる少し前まで私は悪性リンパ腫という血液のがんと闘っていました。苦しい治療を終え、やっと普通の生活を送れると思った矢先の出来事で「また?なんで私なの?」という気持ちになり落ち込みました。それでも「上手く病気と共存すれば大丈夫だ」と思えたのは悪性リンパ腫と闘った経験があったからです。「なったものは仕方ない。誰のせいでもない」とある意味開き直って潰瘍性大腸炎の治療に臨みました。医師から「病気の原因は解明されていない」と説明を受けたとき「誰を責める必要も、自分を責める必要もない」と思い、心が軽くなったことを覚えています。病気になってしまったとき「何がいけなかったの?」「いつ何をどうしていたら良かったの?」と考えがちです。しかし、原因が分からないということは、例え時間を巻き戻せたとしても対処法は分からないということです。だとしたら、過去ではなく、未来を見て、自分を大切にし、できる治療を続けていくことに専念する。そう気持ちが切り替わりました。それからは、定期的に病院に通い、薬を処方してもらい、時々大腸カメラで検査を受けることが私の日常に加わりました。薬のおかげで比較的症状は安定していますが、それでも、健康だったときと比べると、腹痛を起こしやすい、倦怠感を感じる、いつも下痢っぽいといった不調は抱えています。そういった自分の身体の声に敏感になったことは、良かったことのひとつです。
 病気になって分かったことは「自分の身体・命は私ひとりものではない」ということです。応援し、支えてくれる家族や友人、知人が私の周りにはたくさんいます。私の身体・命に関することに、私と一緒に悲しみ、苦しみ、喜んでくれる人たちの存在に気づいたとき、私の命は周囲の人たちと分かち合っているのだと実感しました。だから、無理をせず、自分を大切にしよう、小さな身体の変化や声にも耳を傾けようと心がけるようになりました。それでもつい無理をしてしまうこともありますが、その分しっかり休むことを意識しています。
 私は今、勤めていた職場を退職し、独立して働き始めて6年目になります。学生の頃から地域づくりや地域活性に関わる仕事をしたいと思い、社会人になってから様々なところで地域に関わる仕事をさせていただきました。「いつかは独立したい」という夢もあったので思い切って6年前にその道を選びました。仕事を通して学んだことは「人がその地域を作り育てていく」という当たり前のことです。「この地域で暮らして楽しい、嬉しい、幸せだ」と思う人が増えたらいいなと思いながら仕事をしています。出張も多く、体力的に大変なこともありますが、自分の体調と相談しながら仕事ができている環境に感謝しています。まだまだ未熟ではありますが、病気と上手く付き合いながら自分の望むキャリアを積んでいくことが今の私の目標です。そして、私と同じような経験をした人のサポートやカウンセリングができたらいいなと思い、産業カウンセラーとキャリアコンサルタントの資格も取得しました。まだ「病気と共に生きる人」を直接支援する仕事には結びついていませんが、地域づくりの仕事では人と関わることも多いためワークショップを開く際やキャリア教育の場面などで、その資格が役に立っているように感じます。今後は、これらの資格を活かして自分の活動の幅をもっと広げていけたらいいなと思っています。
 病気と共に生きることは、制約の連続でもあります。しかし、その中で「どう楽しむか」「どう自分らしくいられるか」を考えるようになりました。食事に気をつけたり、無理をせず休んだり、体をいたわることは自己管理であると同時に、未来への投資だと感じています。そして、自分の体調や気分に合わせながらも、できなかったことではなく、できたことに焦点を当てて小さな達成を重ねることが大切なことのように思います。病気は決して望んだものではありませんが、私に「人を想うこと」「自分を大切にすること」を教えてくれました。これからも病気を抱えながらではありますが、同じように悩む人に寄り添い、地域の人々と共に未来をつくる活動を続けていきたいと思います。

語者プロフィール

叶 雅美(かのう まさみ)さん
1983年2月生まれ
鹿児島県・奄美大島育ち
【目標】病気と上手く付き合いながら自分の望むキャリアを積んでいくこと
【趣味】読書、歴史・文化遺産巡り

  • 仕事の様子

  • 悪性リンパ腫闘病中に友人たちからもらった寄せ書きと

2025年10月の報告あれこれ

災害対策講演会

 10月8日那覇市保健所にて、令和7年度療育相談指導事業(療育教室)にて「災害時の備えについて」~平常時からできること~をテーマに在宅で療養されている小児慢性の家族とその医療関係者への講演会をさせていただきました。小児慢性の受給者証更新の際に一番要望が多かったのでこのテーマになりました。
 沖縄が立地的に危険な場所にあることから説明して、地震・津波・台風と防災についての説明と普段から安否確認などの練習をしておきたいことを推奨しました。また、後半は実際にポターブル電源と発電機を動かしてみて体験することで身近に感じてもらいました。万が一の災害に常に備え、影響を少しでも軽減しましょう。

難病医療講演会

 10月21日に那覇市保健所にて難病医療講演会に参加してきました。今年度のテーマは重症筋無力症で、講師は沖縄病院脳神経内科医師渡嘉敷崇先生で「重症筋無力症~病気と治療、より良い療養生活について~」、大浜第一病院訪問リハビリセンターあめくの杜理学療法士片山誠先生で「よりよい生活に向けたリハビリテーション~少しでも疲れを減らせるように~」と題して発表がありました。講演会終了後、相談会・交流会があり、参加者からの様々な質問と先生方からの回答があったあと、参加した方から、新たな患者会を設立する旨の説明がありました。(連絡先などの詳細はアンビシャス会報誌9ページをご参照)

10月のご寄付

 10月は、毎年継続してご寄付いただいております株式会社メガネ一番様より、贈呈式のご案内をいただき、店舗に置いていただいている募金箱、チャリティーゴルフでご寄付いただきました皆様からのご浄財を受領させていただきました。有限会社麦飯石の水様からも、店頭の募金箱より定期的にご寄付をいただいており、10月にも募金いただいた皆様からのお気持ちを受け取らせていただきました。また、匿名で個人の方からもご寄付を頂戴しています。
 ご寄付をいただきました皆様に、心より御礼申し上げます。

保健所スケジュール

各保健所、今月の予定はございません。

【北部保健所】  Tel:0980-52-2704
【中部保健所】  Tel:098-938-9883
【南部保健所】  Tel:098-889-6945
【那覇市保健所】 Tel:098-853-7962
【宮古保健所】  Tel:0980-72-8447
【八重山保健所】 Tel:0980-82-3241

2025「難病と診断されたときに役立つしおり」コラボ企画 難病勉強会・意見交換会

 アンビシャスでは現在、「難病と診断されたときに役立つしおり」を製作しています。2025年度は、ワークショップや勉強会、意見交換会を開催し、それぞれの内容をしおりに反映させ、オンライン上で公開予定です。しおりが「難病と診断された方々」に役立てられること、また、イベントを通じて参加者同士の繋がりが持てたり、知識を深めていただく機会となりましたら幸いです。
http://www.ambitious.or.jp/support/nanbyo_shiori/

【演題】難病患者の働き方について~利用できる制度・職業訓練・企業側の声等~
【講師】難病患者就職サポーター 瑞慶覧 さつき氏
【日時】1月14日(水)14時~16時
【締切】12月17日(水)
【会場】沖縄県総合福祉センター東棟501教室またはZoom

【演題】難病のある人が治療と仕事を両立して働くには~難病患者に役立つ就労情報~
【講師】沖縄産業保健総合支援センター 千葉 千尋氏
【日時】2月4日(水)14時~16時
【締切】1月21日(水)
【会場】沖縄県総合福祉センター東棟501教室またはZoom

【お問合せ】沖縄県難病相談支援センター/認定NPO法人アンビシャス
Tel:098-951-0567(平日10時~17時)

「LIFE ART MATSURI vol.3 ~自分らしく、生きてる?~」開催のお知らせ

【日時】1月18日(日)11時~17時
【場所】浦添カルチャーパークてだこ広場
【内容】癌の女の子との出会いから生きる目的創りで始めた、看護師主催のお祭りです。医療福祉従事者と地域の方々の関わりを大切に。元看護師のハンバーガー屋さん、元理学療法士のコーヒー屋さんなど様々な武器をもつ医療福祉資格保持者たちの出店多数
【司会】パッション屋良
・運営費を除いた金額が、
(1)沖縄子ども未来プロジェクトや(県内の子どもたちの学費支援)
(2)子どもホスピスのようなプロジェクト
へ寄付されます。

こころの現場から

人の受け取り方は千差万別

鎌田依里

臨床心理士 鎌田 依里(かまだ えり)

 数年前、新型コロナウイルス感染症という未曾有の感染災害が世界各地で起こり様々な悲しい別れがあり多くの人は恐怖に慄きました。しかし人類は新たな感染症に対抗する策を様々に編み出しました。まさに医学が直面した人類と未知の感染症との闘いでした…。
 新型コロナウイルス感染症の流行中殆どの人がマスクを着用した時期に、対人恐怖がある人からの「これまではマスクをしていると他の人と違って嫌な思いをしたけれど、周囲の人が殆ど皆マスクをつけているので、堂々とマスクをつけることができるようになり良かった」という語りは多く聴かれたところです(対人恐怖症の人や自尊心の低い人はマスクを着用すると安心することが多いようです)。また不登校傾向がある児童生徒は「新型コロナウイルス感染症の感染が怖いので」という大義名分のもと堂々と学校を休めるようになりました。ある人にとっては「新型コロナウイルス感染症は大事な人を奪った、憎んでも憎み切れないもの」であったとしても、ある人にとっては「都合のよいもの」だということがわかると思います。
 物事の受け取り方の多様性が、新型コロナウイルス感染症に対する想いの違いからもわかります。新型コロナウイルス感染症に関して言えば、5類感染症へと移行した現在においてなおその恐怖に慄いていたり、感染不安で外出できない等の状態があれば、それはその人がコロナ禍以前からもっている「こころの問題」が影響しているといってよいでしょう。こころが健康な人は、約3か月程度で悲嘆や落ち込み等は回復に向かうとされていますので、基本的には3か月以上継続する人は何等かのこころの問題を「既に」抱えている人だといえるのです。

つぶやきチャンプルー

正しいことを言うときに気を付けること

照喜名通

著:照喜名通

 詩人の吉野弘のポエムで「祝婚歌」があります。姪っ子さんへの結婚式にあてたポエムだそうです。「2人が睦まじくいるためには愚かでいるほうがいい 立派すぎないほうがいい 立派すぎることは長持ちしないことだと気づいているほうがいい…」というフレーズから始まります。
 私は看護専門学校の授業の際に将来看護師になる方々へのメッセージとしてスライドで説明しています。詩の中段には「正しいことを言うときは 少しひかえめにするほうがいい 正しいことを言うときは相手を傷つけやすいものだと気づいているほうがいい」というフレーズがあります。
 好き同士惹かれあって結婚していても、他人であり双方の生活習慣などは一緒に住んでみて初めて知ることも多いです。例えば、歯磨きする歯ブラシのシャカシャカ音がイライラすると聞いたこともあります。また、医療者や男性は正論を言い易い傾向があります。問題解決型の場合には良いのですが、心が落ち着かないなどの悩み相談の場合には傾聴が必要です。
 判っていてもどうして良いのか判らない混乱状態、感情的になっている場合などは特にゆっくり丁寧に寄り添う心構えが必要です。相談員として判っていても難しいんだよね。

シリーズ 「患者学」第128回

健康のためにはどれ程の運動をすれば良いのか

慶應義塾大学 名誉教授 加藤 眞三著

 健康な生活を送るためには、運動と栄養と休養が欠かせません。特に、肥満で、高血圧があり、脂質異常や糖尿病がある人にとって、健康な食生活と適度な運動は薬を飲む以上に大切な注意事項になります。
 今回は、適度な運動について詳しく解説したいと思います。
 健康を維持促進するためにどんな人にも最も奨められる運動は歩行です。人間にとって、歩行運動は生存することと切り離せない重要な運動です。それでは、どの程度歩けば良いのでしょうか?
 わが国での社会全体の健康増進を目指す厚労省の「健康日本21(第三次)」では、成人男女8000歩、高齢男女6000歩が目標として設定されています。しかし、これはそれまでの健康日本21が目標値をそれまでの現状値の1.1倍と高くもうけていたのに対して、むしろ現状値を下回ってしまうという結果に終わってしまったために、より実際的な目標として現状維持をめざして設定されたものです。総計値6278歩(令和元年度の現状値)20~64歳:男性7864歩、女性6685歩、65歳以上:男性5396歩、女性4656歩)https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-00-001
 したがって、第三次の目標で大切なことは、①常生活の歩数の増加、②運動習慣者の増加、③運動やスポーツを習慣的に行っていないこどもの減少であり、ウォーキングの歩数の絶対数には、大きな意味はなかったことになります。
 では、一体どれだけ増やせば良いのかというのが、とりあえず今より増やせばよいということなのです。
 最近、ランセットという一流医学誌に報告された研究では、1日あたり2000歩と比較して、1日あたり7000歩は全原因の死亡リスクが47%低下し、心血管疾患の発症リスクが25%低下し、心血管疾患の死亡リスクが47%低下し、がん発症リスクが6%低下し、がん死亡リスクが37%低下し、2型糖尿病の発症リスクが14%低下し、認知症の発症リスクが38%低下し、うつ症状のリスクが22%低下し、および転倒のリスクが28%低下したと報告されています。つまり、わが国でも死亡の原因となる疾患や認知症やうつ症状の多くは、7000歩までの歩行数の増加で十分に効果的であることが示されたのです。
 しかも、全死亡原因の死亡率や心血管疾患の死亡率が低下する効果は、2000歩から6000歩の間で顕著であり、その後は変化がゆるやかであり、歩行数が少なかった人ほど、歩行を増やすことの健康への効果が大きいことが示されているのです。
 この報告を知れば、今まで歩行数が少なかった人も、これから運動を増やさなければと考えることになるのではないでしょうか?

参考文献
Daily steps and health outcomes in adults: a systematic review and dose-response meta-analysis.Ding D, Nguyen Bet al .Lancet Public Health. 2025 Aug;10(8):e668-e681.

慶応義塾大学看護医療学部
名誉教授 加藤 眞三
慶應義塾大学名誉教授。上智大学グリーフケア研究所研究員。
患者と医療者の協働関係を作り上げることをテーマに公開講座「患者学」や著作 等を通じ、患者も自ら積極的に医療に参加する啓発活動に取り組む。

加藤先生の YouTube配信中です!
「Dr.シンゾウの市民のための健幸教室」
加藤先生の最新書籍:いのちをケアする医療
出版社:春秋社

患者団体からのおたより

沖縄県網膜色素変性症協会(JRPS沖縄)より
八重山 イベントのお知らせ

見えにくさで生活の不便さを感じている皆さまへ
自分に合った道具を見つけて生活を便利にしませんか!!
安全な歩き方や快適な生活のヒントも学べます♪

【日時】12月17日(水)11時~17時
【場所】石垣市保健福祉センター 1階研修室
【内容】

①視覚障害者用機器の展示(11時~17時)
・拡大読書器(据え置きタイプ・コンパクトタイプ)各種
・音声読書器各種 他多数
「見て・触って・聞いて」自分に合ったものを見つけましょう! 見えなくても使えるスマホ体験コーナーもあります♪

②ロービジョンケア講習会(13時~14時30分)
講師:山田信也先生(福岡視力障害センター)
演題:あなたの「見たい」「やりたい」をあきらめない! ロービジョン訓練から学ぶ暮らしのヒント

③歩行訓練(14時45分~16時45分)
当日、会場では沖視協歩行訓練士による歩行訓練や日常生活用具などの展示も行われます。 iPhoneの便利な活用方法や安全な歩行についての講話もあります。
展示品:白杖各種・音声体重計・音声体温計・音声時計 他多数

④交流会
視覚障がい者とご家族、支援者同士で情報交換しませんか。

【お問合せ】080-1723-8871(小野)

沖縄型神経原性筋萎縮症 希の会より
第3回市民公開講座の報告

 去った11月2日に那覇市上下水道局みずプラッサにて国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)研究班主催の第3回市民公開講座が「神経難病を克服する~患者会参加型の治療研究~」のテーマで開かれ「近位筋優位遺伝性運動感覚ニューロパチー(HMSN-P)の現状と今後・患者会(希の会)のあゆみ」について講演がありました。
 その中で、希の会の役員4名にて患者会の歩みや活動状況や今後についてもお話しさせていただきました。
 ネットを利用した情報発信などもあり、研究班含めた先生方14名、一般参加者35名、家族会17名、zoom参加20名の計86名で会場は満員となり予想をうわまる参加者でした。
 第1回から行われているこの講座の中で、今回はテーマ決め等の準備段階から積極的に参加してきましたが、少人数の患者会が自らの道を開いていった軌跡を知ってもらうことで患者会活動の可能性をアピールできた内容だったと思います。
 また、研究班より最先端の核酸医薬の研究については大いに希望を持てる話でした。
 そして、事前から外部の方からもお手伝いの申し入れを頂いたりと研究班の先生方や家族も含めた多くの方の力添えがあったお陰で当日もスムーズに執り行うことが出来たこと非常に感謝します。

今月のおくすり箱

インフルエンザ 予防と治療のポイント

宮里 威一郎

沖縄県薬剤師会 宮里 威一郎

 インフルエンザが流行る季節になりました。予防接種はお済みでしょうか。予防接種をすることで、特に重症化リスクを下げることができます。
 インフルエンザには治療薬があります。治療薬は、ウイルスの増殖を抑えて症状の悪化を防ぐ役割を持っています。そのため、早い段階で使用するほど回復が早くなりますが、発症直後の検査では陽性反応が出ない場合もあります。目安としては、発症後12時間から24時間ほど経過していると、十分な検査精度が得られると考えられています。ただし、高齢の方や基礎疾患のある方、妊婦など重症化リスクが高い方は、早めに受診するようにしましょう。
 もしウイルスの増殖を抑える薬が処方された場合は、症状が改善しても最後まで使用しましょう。途中でやめてしまうと、症状のぶり返しや感染拡大につながる恐れがあります。また、治療薬によって服用方法や回数が異なります。使用する上で気になることがあればお気軽に薬剤師にご相談ください。

アンビシャス広場

~エッセイ~「電子機器の導入」眞榮田 純義さん(ALS)

 ALSを発症し、さまざまな便利家電や電子機器の興味や関心が増えてきました。
 最近ではロボット掃除機ルンバを購入し、掃除機がけの負担を減らすことができました。しかも僕の場合、自宅の中でも車いすを使っておりフローリングが汚れやすく、拭き掃除の回数も多かったためモップ機能付のルンバを購入し、自分が想像していたより大活躍をしてもらってます。最近の家電や電子機器は、活用できれば介助者の小さな負担や患者の動かない体でもできることがたくさん増えました。
 例えば、半年ほど前から自宅にアレクサを導入し活用しています。
 生活の拠点にしているリビングの照明器具の点灯や消灯、テレビの音量・チャンネルの変更・電源のオン/オフ、エアコンのオン/オフ、設定温度の変更などもアレクサを使って行ってます。また自宅がオートロックのため、来客や訪問のスタッフが来る際はロックを解除しなければならず、アレクサ導入する前は転倒のリスクがありながらも、頑張って立ち上がりロックの解除をしていました。しかし今ではオートロックの解除インターホンの対応もアレクサを使ってやっています。今の時代はいろいろなものを活用し、人がやらなくてもいい作業はなるべく機械に任せていくことで療養生活のストレス軽減につなげていければと思ってます。何かいいアドバイスがあればぜひ教えてください。

お勧め映画/DVD情報

1)フィリップと5000枚のブランケット 2022年
ある日、心の病を患っていた父親が失踪してしまう。妻と息子は、彼が発見されるのを待っている時に、ホームレスと出会い、ある行動に出る。実話を元にした作品。

2)あしたは最高のはじまり 2016年
ある日、「あなたの子です」と赤ちゃんを託されとまどいながらも、良い親子関係になっていく過程を描いたコメディでもあり、シリアスでもある作品。父親役は、『最強のふたり』のヘルパー役、オマール・シー。

3)安堂ロイド~A.I. knows LOVE?~ 2013年
木村拓哉主役のTBS系列10話の作品。100年先の未来を結ぶSF系、時空を超えたラブストーリー。放送当時、見ていなかったので、先日見てみると面白かった。

4)眠れる森 A Sleeping Forest 1998年
中山美穂、木村拓哉のW主演。フジテレビ系12話の作品。当時の番宣コピーは「記憶だけは殺せない」15年前の事件、犯人だった男が出所し何かが動いていく。見そびれていた作品。
続きが早く見たくなるサスペンス系。

★渡久地 優子{進行性骨化性線維異形成症(FOP)}★

今月の占い

  • 牡羊座 3/21-4/19
    心配りと思いやりを
    ☆リフレッシュ法:歌唱
  • 牡牛座 4/20-5/20
    趣味で充実した時間を
    ☆リフレッシュ法:買物
  • 双子座 5/21-6/21
    新しい気分転換先を
    ☆リフレッシュ法:ドライブ
  • 蟹座 6/22-7/22
    無理せず休息を
    ☆リフレッシュ法:睡眠
  • 獅子座 7/23-8/22
    体調管理で健康に
    ☆リフレッシュ法:飲食
  • 乙女座 8/23-9/22
    一人時間でリラックス
    ☆リフレッシュ法:お風呂
  • 天秤座 9/23-10/23
    知識や雑学の吸収を
    ☆リフレッシュ法:読書
  • 蠍座 10/24-11/21
    心も周りも整理整頓
    ☆リフレッシュ法:断捨離
  • 射手座 11/22-12/21
    挨拶は気持ち良く
    ☆リフレッシュ法:TV・動画鑑賞
  • 山羊座 12/22-1/19
    感謝の気持ちを
    ☆リフレッシュ法:談笑
  • 水瓶座 1/20-2/18
    時に自分に労いを
    ☆リフレッシュ法:音楽鑑賞
  • 魚座 2/19-3/20
    笑いで健康に
    ☆リフレッシュ法:散歩

編集後記

 今月の「表紙は語る」は、潰瘍性大腸炎を罹患された、叶雅美様からご寄稿いただいた体験談を掲載させていただきました。
 悪性リンパ腫の治療後、続けて難病の潰瘍性大腸炎を罹患。心が折れてしまいそうな状況にもかかわらず、経験を踏まえた地域づくりへの情熱を絶やすことなく、お仕事にされたその行動に、どれほどタフで前向きなのかと敬服いたします。ぜひ、難病の方々にも生きやすい社会の実現に向けご活躍いただきたいと思います。
 今年度、主に5ページに掲載してまいりました、アンビシャスが予定する年内の活動も、皆様のおかげ様をもちまして、着実に進めることができました。残る年度内の勉強会・意見交換会の活動といたしまして「難病患者の働き方について」「難病のある人が治療と仕事を両立して働くには」この二つのテーマを演題として、1月と2月に勉強会を予定しています。また「難病の日(2/28)」に、アンビシャスが主催する催しの開催を予定しています。詳細については、改めてお知らせいたしますので続報をお待ちください。
 それでは、2026年が皆様にとって素晴らしい一年となりますよう願い、編集後記を閉めさせていただきます。
 皆様よいお年をお迎えください。

文 伊佐真一郎