1. 難病情報誌 アンビシャス 284号

難病情報誌 アンビシャス 284号

最終更新日:2026年01月03日

表紙は語る

病気は「人を想うこと」「自分を大切にすること」を教えてくれました

玉城 恒(たましろ ひとし)さん
重症筋無力症

Q:自己紹介をおねがいします。

A:玉城恒と申します。現在、社会福祉法人ニライカナイという障害者支援施設で働いています。趣味はスポーツで、主に学生時代はサッカー部に所属し、社会人となってもサッカーを続けていました。いわゆる超健康優良児でした。しかし、大学卒業後に就職して間もなく、練習中に右膝前十字靭帯断裂の大ケガをして手術が必要になり、三カ月で会社を退職して手術とリハビリに専念することになりました。その後の求職活動で出会ったのが児童養護施設です。そこからが「福祉」の仕事の始まりです。児童養護施設では、様々な家庭事情があって保護者との生活が困難な子ども達が入所しているので、心に悩みを抱えている子ども達もいて、関わりでの難しさもありました。しかし、子ども達と過ごす中で、共に生活や遊びを通しての気づきや学びがあり、私自身ができない事や足りていない事の多さに気づかされることもありました。入所理由の多くが保護者からの不適切な養育・生活困窮という社会問題・課題にも直面しましたが、目の前には子ども達が生活している訳で、何か力になりたいという想いが日に日に強くなりました。色々なイベントや企画を共に経験することで、子ども達の成長は早く、できることも増え、そこから私自身も教わることが沢山ありました。まさに福祉の楽しさ醍醐味を共に経験することで、私自身の福祉マインドの礎を築いてきたと考えます。
 児童養護施設の次に、那覇市にある放課後児童クラブ(学童)で約四年間働きましたが、その後三月初旬に転職手続きで必要な健康診断を受けに行った日のことです。病院から連絡があり「午後お時間を作ってご家族と来てもらえませんか」とあり、急いで妻に連絡して病院へと向かいました。児童クラブで働いていた四年間、特に体調を崩すこともなかったので健康診断は受けていませんでした。レントゲンには大きな影が…。「胸腺腫瘍」だと説明を受け、翌日には紹介された病院へ行き、即入院となりました。全身の検査もしましたが幸い転移はなく、ありがたいことに手術も無事成功。その後はリハビリが続くことになりました。三月中旬に入職予定でしたので、職場には事情を説明し入職はお断りしました。しかし事務局長(現理事長)は「待っています」とお返事があり正直驚きました。四月に手術をして五月に退院し、仕事復帰について主治医は「大きな手術だったので、半年ぐらいリハビリをしながらゆっくりしても良いのでは。」ということでした。それで再度職場へお断りの電話をしましたが、それでも理事長は変わらず「待っています」とありました。私は、その心意気に感銘を受けて覚悟を決め六月(術後二か月足らず)から働くことを決めました。本当に「今」があるのも「社会福祉法人ニライカナイ」のおかげであり感謝しても足りないぐらいです。

Q:転職が転機となったのですね。

A:転職がなければ検診も受けていなく、病気も発覚しなかったので、検査結果での腫瘍の大きさを考えると、この機会がなければ現在生きていなかったと考えます。自覚症状についても、当時を振り返るとありました。パソコンでのタイピングを打つ時に指先が硬直し、食事をする時に口先にマヒなどがあり、食べこぼしや言語障がい等もありました。症状として末端の方にマヒ等が出るので「なにか変だな」と、その時は脳梗塞とか別のことを考えました。あとは、まぶたが昼過ぎや夕方から下垂することも増えました。ただ当時はフルマラソンも完走でき、筋トレなども制限なくしていたので、正直体力の衰えは感じておらず、ただ疲れかなとしか感じていませんでした。実は、四月に手術した、その年のフルマラソンにも出場しています。主治医に相談をすると「構わないよ」。でも「無理はしないでね」という返答でした。それでフルマラソンはコロナ禍になるまで二十年近く出ていました。ただ、これまでも一人なら出ていなかったと思います。施設の子ども達や職場の同僚、友人たちと一緒だったので、練習も共に行いました。マラソンに出場するたび、お互いにキツさで挫折しそうになりましたが、子ども達や仲間と励まし合いながらゴールできた時の達成感はかけがえのないものでした。児童養護施設の子ども達は基本的に十八歳で高校を卒業したら退所しないといけなくて、卒業前の思い出作りとして一緒に参加しようと提案しました。印象に残っているのが、フルマラソンを完走した子ども達が、その後、社会人となり、色々な人生の壁にぶつかった時に例えるのが「人生でマラソンより苦しいことってないよね」と、その想い出を糧に様々な困難を乗り越えてきた子ども達の話を聞くと、私だけに限らず、他の仲間も一緒にその経験・想い出を共有できたのは大きな財産となりました。

Q:語ろうと思われた動機は何ですか?

A:そうですね、先日の難病ビアサポ研修で、難病のある方々とお話ができたことで、私もこれまでの事を振り返りながら、同じような悩みや苦しみ、難病のお陰で気付けたことや、頑張ってきたことを聞くことで、あらためて自分自身の気持ちの整理になりました。それで今後は私が難病を抱えている方々の励みになれたらと考えました。今、私は「重症筋無力症」で本当に良かったと思えています。なぜかというと、活動での制限はかかりますが年相応というか、この制限が必要な年齢になったと思えば全然苦になりません。手術から七年くらいは無症状でしたが二~三年前に症状がひどく出ました。その時は結構、身体を酷使していて運動等もハードにやっていたので、症状がドカンと出てその時は本当に日常動作も困難になり、一ヶ月近く入院して治療に専念しました。そこから色々と内省し、運動なども控えることで、一気に症状が落ち着いてきました。私の性格上、制限がなければいくらでもやってしまうので「重症筋無力症のおかげ」でその後は入院や治療は受けずにいられています。

Q:これからの目標や夢を教えてください。

A:今、障害者支援施設で働いていますが法人の基本理念が「障がいがあっても(なくても)一人の人間としてその人なりに幸せな人生があるべし」です。まさに、この理念があるからこそ、私が働くことが出来ていると考えます。私はその理念のもとで仕事に従事しながら、経営目的「利用者の幸せ、職員の幸せ、そして地域社会の幸せの実現」を達成するために地域への理解を広めたいと考えています。現在の社会ではこれだけ「共生社会の実現」と言われていますが、未だに障がい者への偏見や差別等があり、無力さを感じることもあります。逆に、そういう理解を広める活動に私たちがもっともっと力を入れていかないといけないと考えています。先日、地域でのイベントを行い、約千名あまりの来場者の中には障がいのある方や保護者、地域の方々が来てくれて様々な交流の機会になったので、これからも積極的に地域に出て交流、発信していきたいと強く感じました。一人でも多くの方に共感してもらえたら嬉しいです。できないことを探したらいっぱいありますが、できることを一つでも見つけて、そのできることに喜びを感じてほしいと想います。どうしてもできないことに目が向きがちで、私も制限されていると考えたら、圧倒的にできなくなったことの方が多いですが、それでもその中でいまだに続けられていることも沢山あるので、できることが「ある」という事に幸せを感じられたら良いかなと想います。これは重症筋無力症に限らずどの障がいでもそうだと考えます。
 むすびに、私の一番の理解者は妻や家族です。私が、何かを考えた時、実行する時には常に妻や家族の理解や支えがあり、安心して前にすすむことができます。これからも、難病と「共生」して豊かな人生を歩むために「新たな事」にチャレンジし続けて参ります。もちろん、困難も待ち受けていると思いますが、私にはそれを乗り越えていける仲間と経験があります。
「ちゅのたみや、るーぬたみ」
(人の為になることは、自分のためにもなる)
その精神で受けてきた「恩」を私と関わる方々へ「恩送り」していきます。

語者プロフィール

玉城 恒(たましろ ひとし)さん
1976年8月31日生(南城市大里出身)
【趣味】スポーツ全般観戦・映画鑑賞
【特技】ダイエット!おせっかい
【夢】障がいのある方・ない方の共生の実現
【目標】豊かな人生を歩み100歳ピンピンコロリ
【好きな事】好きな物を食べること・絶食(空腹も大好き)
【最近の楽しみ】やはり人との関わり。交流の機会が楽しみ。
【好きな音楽】童謡、その他なんでも好きです

  • 表紙

  • 地域との交流イベントにて抽選会で司会進行している様子

2025年11月の報告あれこれ

難病にまつわる勉強会・意見交換会開催

 今年度、毎月開催しています「難病と診断されたときに役立つしおり」11月のコラボ企画に会場は7名様、またZoomでは21名様にご参加いただきました。今回のテーマは「病気になった時に役立つ社会保障」で、社会保険労務士・行政書士オーシャン事務所合同会社オーシャンオフィス大城代表の大城恒彦先生に講義いただきました。当日は講演の後にQ&Aの時間を設けたことで、普段聞きたくても聞くことのできない障害年金に関する質問が上がっていました。この質疑応答は、アンビシャスホームページに8件載せていますので、是非ご参考にしていただけましたら幸いです。

膠原病 医療相談会

 8日に新健幸クリニックの小禄雅人先生をお迎えし、膠原病系疾患の医療相談会を開催しました。医療相談会は、日々の療養生活の中での疑問や不安など、外来ではゆっくり主治医の先生に聞けないことを相談できる機会となっています。参加された方からは「自分の認識外の説明を受ける事が出来て、知識が増えて良かったです。」「主治医以外の医師の見解を聞くことが出来て、今後の選択の判断に役立てていきたいと思いました。」という声が聞かれました。今年度の医療相談会は12月12日をもちまして全日程が終了いたしました。
 来年度も医療相談会の開催を計画してまいりたいと思っておりますので、ご相談があればまずはアンビシャスまでお問い合わせください。)

CADASIL 知ってる会 in 沖縄

 15日に講演会が開催されました。カダシル(CADASIL)は、NOTCH3遺伝子の変異が原因で、脳の細い血管が障害され、若年性の片頭痛、脳卒中(脳梗塞・脳出血)、進行性の認知症などを引き起こす遺伝性の脳小血管病で、国の指定難病(124)です。特徴は大脳白質病変で、症状は多様ですが、将来の治療法開発を目指した研究が進められています。日本では沖縄県に比較的多くいるとされています。
 そんな中、疾患の研究を国立循環器病研究センターの猪原匡史先生とそのチームがとして判り易い講演でした。質疑応答では患者さんや県内の医師からも質問があり理解を深めることができました。研究が進み新たな治療薬ももうすぐできそうとのことですので期待が大きいです。

難病ネットワーク学会

 28日、29日に第13回日本難病医療ネットワーク学会学術集会が、滋賀県大津市において開催され、参加してきました。全国の医師やさまざまな職種が集い発表する難病に関する学会としては規模の大きい学会だと思います。治療・リハビリ・意思伝達技法・意思決定支援・心理面に加え防災についての講演もありました。今回新たな取り組みとして、講演のあとに参加者が数名のグループになってディスカッションをする講座が多かったので、多職種の方々とディスカッションすることは学びも深くなりました。展示ブースでは各企業の機器展示もありましたが、日本難病・疾病団体協議会(JPA)のブースではアンビシャスの会報誌も含め、全国の患者会のパンフレットを配布されており、情報交換をする機会を得ました。

保健所スケジュール

各保健所、今月の予定はございません。

【北部保健所】  Tel:0980-52-2704
【中部保健所】  Tel:098-938-9883
【南部保健所】  Tel:098-889-6945
【那覇市保健所】 Tel:098-853-7962
【宮古保健所】  Tel:0980-72-8447
【八重山保健所】 Tel:0980-82-3241

RDD2026(世界希少・難治性疾患の日)のお知らせ

 アンビシャスでは、今年もRDD2026沖縄と銘打って、希少難病に関する催しを企画しています。
 今年のテーマは、「ともに、すごす。ともに、つくる。ときに、わらう」に沿った内容を企画しています。詳細は下記をご確認ください。

【日時】2026年2月28日(土)10時~13時
【対象】どなた様もご参加いただけます
【参加費】無料
【詳細】こちらからご確認ください。

【那覇会場】沖縄県総合福祉センター403号室
【オンライン会場】Zoom
【北部保健所・八重山保健所・宮古保健所】調整中
【お申込み】こちらからお申込みください。
【申込締切】2月25日(水)
【主催・問合せ先】
沖縄県難病相談支援センター/認定NPO法人アンビシャス
Tel:098-951-0567(平日10時~17時)

メンタルヘルスセミナーが国際学術誌に掲載されました。

 アンビシャスで2017年から行ってきたメンタルヘルスセミナー「難病とストレスのつきあい方」が国際学術誌“Journal of Rare Diseases Research (希少難病研究)” に掲載されました。それによると、3か月のセミナーに参加した人はストレス反応としての抑うつ、不安、怒り、疲労、混乱が低下し、病気に対する悩みが減り、QOLが向上するという効果が示されています。実際に効果があるセミナーですので、これからもより多くの方々にご参加頂ければ幸いです。
 論文の検索情報は以下の通りです。

Ueda, Yukihiko. "The effects of mindfulness-based cognitive behavioral group program for patients with intractable disease and high depression." Intractable & Rare Diseases Research 14.3 (2025): 203-209.
Google Scholor に「maindfulness, ueda」と入力すると実際の論文を入手することができます。

こころの現場から

「コミュニケーション」を考える

鎌田依里

臨床心理士 鎌田 依里(かまだ えり)

 新年あけましておめでとうございます。本年が皆さまにとりまして幸多き年になりますよう、こころより祈念いたします。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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 私は常日頃、言葉を発することによって周囲の人とコミュニケーションをとっています。もちろん世の中にはメールや手紙等もありますが、やはり相手との誤解がより生じにくい対面や電話でのコミュニケーションを優先させることが多いです。しかしこれまで当たり前のようにやっていた言葉でのコミュニケーションがなくなった場合にはどうするでしょうか。かくいう私も先日新型コロナウイルス感染症に罹患し一週間声が全く出なくなりました。最初は筆談や携帯電話のラインアプリで意思を伝え家族との疎通を図っていましたが、3日もすると家族は学習して「私の訴えたい状況を大体理解する」ので私の意図を慮って、私に確認をせずに自ら判断して行動してくれるようになりました。それが実は私の意図とは異なっていても気が付かず「善意で」行動してくれたのです。もちろん家族には感謝をしています。
 しかし「大体同じような状況」にあったとしても、その際に「本人が望むこと」は実は異なっていることが多いです。介護を受ける難病療養者でコミュニケーションが困難になっている人が何を想い考えているのかはわかりません。周囲の人は「わかった気」になっているだけです。そうはいっても介護を受ける難病療養者も「まあ家族が嬉しそうにやってくれるからいいか」と妥協しています。
 コミュニケーションが困難になった人の想いを知ることが本当に困難であることは「一週間何があっても絶対に言葉を発しない」経験をすると実感できると思います。

つぶやきチャンプルー

答えは現場にある

照喜名通

著:照喜名通

 多くの難病患者は、突然難病と医師に診断され、周りに相談できる人が少ないため、患者や家族は社会から孤立する傾向があります。
 患者会は、同じ経験を持つ仲間との出会いの場であります。約28年前にクローン病と診断された私は、入院している病院の栄養士に患者会が発行した冊子をもらい患者会に連絡した経験があります。同じ病気の方と出会っただけで、肩の荷が降りたような安堵感を感じました。患者会は同じ疾患の患者や家族などと体験を共有することで、心理的な安心感を得ることができます。また、多くの患者さんや家族と対話することで、私の中でのクローン病の知識が増えてきました。患者さんに向けて患者会をしているのですが、自分の知識向上にもつながっています。
 私の知識は、患者さんの経験から学ばせてもらったことです。このことは、現在の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の支援や防災についての支援についても似たようなことがいえます。患者さんの体験に学び、質問されて答えきれなければ、調べてお伝えし共に考えてきました。
 私はALSではないし、被災した経験もありませんが当事者から教えてもらっているのです。書籍やネットではある程度の学びはできますが、答えは現場にあるのです。

シリーズ 「患者学」第129回

医師はなぜ悲観的なことしか言えないのか?

慶應義塾大学 名誉教授 加藤 眞三著

 患者さんの立場から考えると、医師の務めは患者さんを楽にしてくれることにあるはずだと思いますが、医師はなぜか患者さんに対して悲観的なことしか言いません。今回は、なぜ、医師は悲観的なことをいってしまうのかを、医師の立場から考えてみます。これは、医師個人の性格によるものというよりは、近代医学の成り立ち・医学教育、医療の文化・責任の所在などが関係する構造的な問題なのです。
 まず、第一に医学は「基本的に最悪を想定する学問」であることがあげられます。現代医学は基本的にリスク管理が大切であり、診のがしやいい逃しを恐れます。医師は「起こりうるなかで最悪の事態」を想定して診療するような訓練を受けており、可能性が低いとは考えられることでも、重大な結果をもたらすことに関しては必ず伝えるように習慣づけられています。これは インフォームドコンセントが唱われる中で、患者の知る権利を守るための医師による防衛的思考ではありますが、それが言葉として出されると「悲観的」な内容に聞こえます。最悪の状況も想定した上で、診断や治療を受けとめなければならないからです。
 次に、二番目として、医学教育の問題があげられます。医師は「希望」を語るための教育や訓練を受けていません。学ぶ内容は、病態生理、診断法、治療法、予後に関する統計などであり、患者さんの希望を生かすためのコミュニケーション、患者さんにとっての意味・生き方・価値観の支え方、不確実性の中での意志決定などについて、体系的に教えられることはほとんどありません。結果として医師から話す内容は、確率とデータとなってしまうのです。
 第3に、法制度からの「責任回避のための圧力」により、医師は悲観的に伝えることになります。楽観的に話すと、それが外れた場合に責任を問われてしまいます。悪い可能性、悲観的なことを言っておけば、とりあえず説明義務は果たし、法的に追及されることは少ないのです。つまり、医師にとって、希望を語ることはリスクであり、悲観を語る方が安全なのです。手術のリスクや、薬の副作用などについても、そのような医療構造の中で、医師は無意識に悲観的な言葉を選んでしまうのです。
 第4に「集団の統計」と「一個人の人生」を混同することがあります。医師が語るのは「〇年生存率」「治る確率」「再発率」など集団の統計結果にすぎません。しかし、患者が知りたいのは「私はどうなるのか」「私はどう生きればよいのか」です。この意識のズレが、医師が冷たい・悲観的だという印象を生みだすことになります。
 第5に、実は医師自身も「不安」を抱えているのです。多くの医師は内心でこう考えているのです。「本当のことは誰にも分からない」「自分の言葉が人生を左右するかもしれない」「希望を与えて裏切るのが怖い」その不安が、医師にとっての安全側(悲観側)へのバイアスとして言葉を選ばせるのです。
 結論として、医師が悲観的なのは、冷たいからでも無能だからでもありません。医学が「最悪を避ける」構造でできており、医療の制度が「患者の希望より医師の安全」を選ばせることになっているのです。

慶応義塾大学看護医療学部
名誉教授 加藤 眞三
慶應義塾大学名誉教授。上智大学グリーフケア研究所研究員。
患者と医療者の協働関係を作り上げることをテーマに公開講座「患者学」や著作 等を通じ、患者も自ら積極的に医療に参加する啓発活動に取り組む。

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加藤先生の最新書籍:いのちをケアする医療
出版社:春秋社

患者団体からのおたより

沖縄県網膜色素変性症協会(JRPS沖縄)より
11月開催行事のご報告

ブラインドメイク体験会を開催しました

 11月22日(土)、県内初となるブラインドメイク体験会を開催しました。
 日本ケアメイク協会から化粧訓練士3名とフルメイク実演者1名を迎え、午前・午後の2部制で実施。同協会は、視覚障害者が鏡を使わず自分の手でメイクできるようになるためのブラインドメイク普及・訓練士養成を行う団体です。
 参加者は最初緊張していましたが、手の感覚を活かした丁寧な指導のもと、ベースメイクやリップメイクを体験するうちに表情が和らぎ、終了時には笑顔で感想を語り合いました。
 「以前のようにメイクするのは難しい」と感じていた方にとって、自分の手でメイクできる実感は大きな自信につながり、「またメイクを楽しみたい」との声も聞かれました。ブラインドメイクが日常生活や心のあり方を前向きにする可能性を再確認する機会となりました。

北部観光バスツアーを楽しみました

 11月30日に本島北部へバスツアーを実施しました。
 往路のバス内では、福岡視力障害センターの山田信也先生から貴重なロービジョンケアに関する講演をいただきました。昼食を国頭の道の駅で楽しんだ後、やんばる森のおもちゃ美術館にて木のおもちゃに触れるなど、様々な体験活動を行いました。その後、大宜味村のシークワーサーパークに立ち寄り工場見学を実施。復路のバス内ではカラオケで盛り上がり、親睦を深めました。
 本ツアーは、学習と体験、そして会員間の交流を両立させた、実り多い一日となりました。

今月のおくすり箱

日頃お使いいただく歯磨き粉について

白坂 亮

沖縄県薬剤師会 白坂 亮

 日常生活を送るうえで歯磨きの重要性はみなさまもご承知のことと思います。しかし、歯磨きを毎日行っていても虫歯や歯周病などが起こり、場合によっては全身性疾患に発展することもあります。
 歯磨きの方法や回数などは、その状態に合わせて適切に選択することが必要であり、また用途に応じた歯磨き粉の選択も口腔トラブルを防ぐためには重要です。歯磨き粉には、その効能や目的によって大きく医薬品、医薬部外品、化粧品の3種類に分けられます。

1.医薬品:歯肉炎・歯槽膿漏における諸症状 に対し治療を目的としたものになります。
2.医薬部外品:虫歯・歯肉炎予防・美白・知覚過敏に効果が認められる有効成分が配合されています。市販され ている歯磨き粉の多くが医薬部外品の歯磨き粉になります。
3.化粧品:「虫歯を防ぐ」や「歯を白くする」など全56の効能表示が認められています。ご自身の口腔内の状況 や目的に応じて歯磨き粉を選んでいただき、もし選び方が分からない場合にはかかりつけの歯科医などにご相談 ください。

アンビシャス広場

~エッセイ~「とある高校での講演会」眞榮田 純義さん(ALS)

 11月の中旬に県内南部の高校でALSについての講演会をしてきました。対象は、一年生から三年生までの希望者が参加可能な自由参加型での講演会でした。自由参加ということもあり、そんなに多くない参加者だろうなと考えていました。しかし、いざ会場につき準備をしていると、続々と生徒たちが集まってきました。多くの先生方も集まって頂きました。内容としては【『ALS』5年目の今伝えたいこと】というタイトルで講演会を行ないました。生徒たちは前のめりで話を聞いてくれ、質疑応答もたくさんありとても有意義な講演会の時間でした。
 しかし、僕が一番驚いたのは、講演会終了後に個別で質問をしたいという全参加者のうち3分の1程度の生徒が、列を作ってまっていました。
 質問の内容は様々で、多くの生徒が将来看護師や医者を目指しており、患者の僕が考えていることや医療従事者に求めることなどさまざまな質問がありました。
 今まで何度か講演会をしてきましたが、こうして列を作ってまで自分の疑問や質問をしてくる人がなかなかいなかったのでとても感動しました。
 今回この高校で講演会をするきっかけになったのは、僕の高校時代の恩師が、現在その学校に在職されていて、講演会のお話を頂き実現することができました。
 恩師に感謝です。ありがとうございました。

お勧め映画/DVD情報

1)ギフト 僕がきみに残せるもの 2017年
元NFLのスター選手が、難病のALSを宣告された。そして、妻の妊娠も分かる。日常を撮り溜めていきながら、闘病と育児が始まる。葛藤もありながら、楽しく前向きに生きるドキュメンタリー作品となっている。

2)囚人の娘 2023年
刑務所で12年を服役し出所する父親。そんな父親から連絡が入るが、大きな溝がある。二人は、どう変化して行くのか。主演は「アンダーワールド」5作品シリーズ主役のケイト・ベッキンセイル。

3)義兄弟 SECRET REUNION 2010年
韓流映画で、北朝鮮工作員が脱北者暗殺者と国家情報院の諜報員が阻止するという内容。その二人が、どう関わって行くのかで、引き込まれる。

4)偶然見つけたハル 2019年
韓流ドラマで、マンガの登場人物が、現実世界と交差しているファンタジーロマンス。32話ではあるが、35分作品なので見やすく内容的にも面白い。

★渡久地 優子{進行性骨化性線維異形成症(FOP)}★

今月の占い

  • 牡羊座 3/21-4/19
    過信せず無理は禁物
    ☆リフレッシュ法:運動
  • 牡牛座 4/20-5/20
    感謝の気持ちは大切
    ☆リフレッシュ法飲食
  • 双子座 5/21-6/21
    体調管理を怠らずに
    ☆リフレッシュ法:睡眠
  • 蟹座 6/22-7/22
    挨拶は気持ち良く
    ☆リフレッシュ法:スキンケア
  • 獅子座 7/23-8/22
    心配りと目配りを
    ☆リフレッシュ法:ドライブ
  • 乙女座 8/23-9/22
    忘れ物ごとに注意
    ☆リフレッシュ法:TV・動画鑑賞
  • 天秤座 9/23-10/23
    助言に聞き耳を
    ☆リフレッシュ法:談笑
  • 蠍座 10/24-11/21
    労りは自身にも
    ☆リフレッシュ法:音楽鑑賞
  • 射手座 11/22-12/21
    一人時間を大切に
    ☆リフレッシュ法:読書
  • 山羊座 12/22-1/19
    言葉使いに注意を
    ☆リフレッシュ法:散歩
  • 水瓶座 1/20-2/18
    心の乱れに注意を
    ☆リフレッシュ法:断捨離
  • 魚座 2/19-3/20
    出会いを大切に
    ☆リフレッシュ法:買物

編集後記

 あけましておめでとうございます。
 旧年中は難病情報紙「アンビシャス」をご愛読くださいまして、ありがとうございます。今年も、皆様に大切な情報をお届けできる紙面を目標に製作してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 今月の「表紙は語る」は、重症筋無力症を罹患されている、玉城恒様からご寄稿いただいた体験談を掲載させていただきました。
 転職手続きで必要な健康診断を受けに行ったことで「胸腺腫瘍」が見つかり主治医から半年ほどのリハビリ生活を勧められたものの2か月足らずで、ご本人の決断もあり入職。その経緯は、ご覧いただければ感じるものがそれぞれにあると思います。
 5ページにご案内させていただいています、RDD2026沖縄の企画が2月28日に予定しています。ご興味がある方・ご参加を希望される方は、奮ってお申し込みください。
 10ページのエッセイでは、講演会のお話が主軸になっていましたが「ご縁」を大切にされていたからこそ実現した講演会だと感じます。「表紙は語る」の玉城さんも現在の職場との出会いも。病気の有無にかかわらず、人にやさしく接することのできる社会が普通であってほしいと願います。

文 伊佐真一郎