1. 難病情報誌 アンビシャス 107号

難病情報誌 アンビシャス 107号

最終更新日:2011年03月31日

 

表紙は語る

本当の強さとは自分の弱さを受け入れること

『車いすのシンガー』謝花 伊早武さん
脊髄性筋萎縮症

 進行性の難病「脊髄性筋萎縮症」と共にこの世に生を受けました。「脊髄性筋萎縮症」とは遺伝子の欠損のため神経に異常をもたらし、ほぼ全身の筋肉が徐々に衰えていく難病で最後には息をする筋肉さえも奪う病気と言われています。ですが、末っ子の私がこの難病と知ったとき母親は「またか・・・」と思ったでしょう。実は4人姉兄中3人が同じ難病を発症していました。映画のようなストーリーはさらに続き、私が生まれて数ヶ月の頃に父親が交通事故で命を失いました。女手一つでよくも育ててくれたなぁと感謝でいっぱいです。

 そんな中、同室だった3名で「niy-s(ニース)」というバンドを組みました。バンドといっても楽器は演奏できませんので、全て打ち込みという作業で音を作りました。打ち込みとは各楽器のパート(ドラム、ギター等)を1音1音ずつコンピューターに打ち込み、カラオケを作りそれに合わせて歌う手法です。一曲作成するのに大変な労力を必要とします。
 そして20歳を過ぎた頃、自分にはやれることがあるのでは?自分の可能性にかけてみたいと強く想い退院を試みます。 退院を決めてからは大きな壁が立ちふさがります。住む場所探しからその他にも介護制度の交渉や経済的な問題など、たくさんの壁にぶつかりました。退院の際に一つだけ決めていた事があり、それは制度をできるだけ使わないで自分の力で自立をするということでした。ワープロや地図制作、イラスト制作やイベントの名簿作成、名刺作成等あらゆるパソコンを使用したアルバイトをしましたが、手指の不自由さから時間がかなりかかる為、生活をするには苦しい状況でした。他にも色んなことに挑戦しました。就職できないなら自分で起業しようと思い事業所を立ち上げたり、店を開業したりもしました。ですが、自分の勉強不足から失敗に終わり、しまいには飛び込みの営業までやってみました。来月どうなるのか?明日どうなるのか?不安で眠れませんでした。自信もプライドも失いました。人と会話することさえ恐怖でなりませんでした。
「強くなりたい・・・」いつもそう願っていました。願えば願うほどそれは遠くに感じ、願えば願うほど自分の弱さにただ愕然としていました。
「頑張るのはもうやめよう」私が下した決断はそれでした。
 もういいだろう…。全身の力が抜けました。死ぬのはいつでもできる。自分に出来る事、自分にあった事、それが音楽でした。

 6年前にバンド活動は休止状態、ソロでのオファーは年に数回程度でしたのでほぼゼロからの出発でした。こんな私の歌を聴きに来て下さる方がいるからには失礼のないように本気で歌おう。唄が下手なのは充分分かっている。自分に出来るのは本気で唄うことだ。その時からです。今まで何をやってもうまくいかなかった私が、本気で歌を唄ってみよう決断したとたん、応援してくださる方がどんどん増えていきました。ライブや学校講演などに招いて下さったりHP関連のお仕事の依頼も増えていきました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
 今私がこうして笑顔でいられるのは決して私1人の力ではなく多くの方の想いとサポートのおかげだと実感しています。一日でも長く歌い続けること、それが今まで支えてくださった方々への恩返しになると信じています。
 本当の強さとは自分の弱さをすべて受け入れること、その言葉が今の自分の大きな幹となっています。

語者プロフィール

謝花 伊早武さん
■職業:シンガーソングライター
■主な活動ライブ:(niy-s)ニースとしてソロ活動講演テーマ:「本気で生きること」を中心にトークライブ活動
 ラジオパーソナリティー:「いさむぅ~の車椅子の風景」毎週木曜15:00~15:30放送 スポンサー募集中!
■ピースエンドピース代表取

 

2月の報告あれこれ

福岡県にて、就労支援講演会

2月1日、就労支援の講演会がありました。労働局・センターとアンビシャスの3者の発表でした。難病を持つ方の就労は関心が高く、約80名の参加があり、福岡県難病相談支援センターの取り組みとして役割を果たしています。沖縄でも時期をみて講演会など開催していく予定です

チャリティ講演会

国家の品格の著者藤原正彦氏をお招きし「21世紀を担う、沖縄の若者たちへ」と講演会が開催されました。学生は無料で一般の方も予想を上回る750名と大盛況でした。企画した、office-OSHIRO HIROSHIの大城浩代表は少しでも難病の方々のお役に立てれば幸いと30万円の寄付を頂きました。講演で印象なのは「家族を愛し、日本を愛し、人類を愛すること」

中部地区神経難病連携ネットワーク会議

中部保健所主催で神経難病支援者と連携を取りノウハウなどの情報を共有しようと病院や訪問看護など関係機関の方約80名が参加しました。課題はALSの方が緊急で入院したり、介護する家族の休息などで入院するレスパイト入院をするために何をどのようにすれば良質の連携が取れるのか情報交換をしています。

網膜色素変性症の集い

岡山県から日本網膜色素変性症協会理事の奥村俊通氏がアンビシャス事務局に来所しました。今後県域をこえても連携しながら情報交換していきましょう。患者会の設立や情報提供などまた機会がありましたら、どんどん協力してくれるそうで頼もしいです。奥村氏が凄いのは講演会だけではなく、センターや県庁にも挨拶にいくなどして交流と情報交換をするところで、見習わなければならない。

コラム

新聞20113.8 掲載

「5人の心はずっと一緒」
沖縄盲学校卒業の5人 希望かなえ進学、就職

 沖縄盲学校(真謝孝校長)高等部普通科を4日に卒業した5人全員がそれぞれ希望する大学進学と就職を決めた。4月から3人が進学する県外大学に進学するため離れ離れになるが、「同じ障がいだから分かり合えることが多かった。5人の心はずっと一緒だと思う。」と當山さんは話し、ほかの4人も笑顔でうなずいた。
 5人のうち4人は普通学校に通った経験はあるが、障がいに対する周囲の理解は十分には深まらず、好きな運動をあきらめたこともあったと言う。しかし同校では違った。5人は互いに刺激し合い勉強や運動などに取り組んだ。高2のときにバンドを組んで参加した九州地区盲学校音楽大会はの思い出だ。
 進路や目標は違うが、「これまでもほかの4人がいたから頑張れた。それは離れても変わらない。」と5人は声をそろえる。
 それぞれの目標に向かい歩み始めた教え子たちに、担任の末永美代教諭は「自分にできないことを探すのではなく、自分のできることを磨いて生きてほしい。」と暖かいエールを送った。

~エッセイ~「役割を探しつつ・・・」

車庫の取り壊しをしているユンボがうなりをあげている。
玄関脇の木の下では、愛犬の”クマ”がユンボに向かってほえている。
私は、一人、居間で友人達から退職記念にもらったフォーク全集のCDを聞きながらパソコンにむかっている。
「君の行く道は果てしなく遠い・・・♪♪♪」

1年前までは支援者であった私が今は支援を受ける立場にある。
初診時、沖縄病院の担当医から言われた言葉が頭をよぎる。
「あなたが保健師としてやってきたことがこれから試される」と。
支援者と支援を受ける側の両方の立場がわかる者として、今後、どのように病気と向き合うか?

CDの曲が変わった。
「あせってみたって同じこと・・・助け合おうぜ 世の中は 気楽に行こうぜ・・♪♪」

回りの助けを素直に受け入れ、肩肘はらず、前向きに、気楽に行くのもいいかも知れない。両方の立場がわかる者としての役割を探しつつ・・・。

★平成23年1月29日(土)作者:M.S(ALS)

バリアフリー情報

「北谷 林屋」

那覇から名護向けの58号線沿い左側にある、ラーメン店、「北谷 林屋」
麺は、京都で庶民に親しまれてた「中華そば」を使用。
平日のランチは、ソフトドリンク飲み放題。
入店はもちろん、トイレもバリアフリーで、簡易型溲瓶洗浄用ホースも設置していて、安心です。

住所 北谷町北前1-6-8
TEL&FAX 098-926-0220
営業時間11:30~ 年中無休
メールアドレス ramen.linya@gmail.com

★渡久地 優子さん(進行性骨化性線維異形症(FOP)

ポエム

「ゆっくり」

『がんばれてる』って自信は
誰にも負けないけど

『頑張る!!』って自覚は
カンタンに揺らぐ…

でも、いいよね。

少し疲れちゃうことって
あるもんね

『また頑張る!』
そのあと、ゆっくりゆっくり…

★竹村 安津季

お勧め映画情報

「カリフォルニア・トレジャー」/2007年作 アメリカ映画

宝探し「コメディ」映画ではあるが、親子関係も絡んだ「ハートフルコメディ」であろう。
自分勝手な父親チャーリー役に、マイケル・ダグラス。
物語は、チャーリーが精神病院を退院して来る所から始まる。
チャーリーは、住んでる地区に「宝が埋まってる」と独自に検索を始める。
宝探しに付き合わされた娘のミランダが、突拍子も無い計画に巻き込まれて行く…。

シリアスな役が多いM.ダグラスが、破天荒な役を演じていて、時折見せる、少年のような顔、それとは対照的な娘を思う親の顔が、とても良く、ハートフルな作品に仕上がっています。

★渡久地 優子{進行性骨化性線維異形成症(FOP)}★
・・・カラーセラピーやパワーストーンも好きで、時々、ネットで見てます。

今月の占い

  • 牡羊座 3/21-4/19
    疲れたら、十分な睡眠や休暇を取って。
    ☆ラッキー・スポット☆DIYセンター
  • 牡牛座 4/20-5/20
    いつも笑顔を心がけ、周囲も明るく。
    ☆ラッキー・スポット☆学校
  • 双子座 5/21-6/21
    ストレス溜めないように、ガス抜きを。
    ☆ラッキー・スポット☆ライブ
  • 蟹座 6/22-7/22
    年齢問わず、言葉遣いに気をつけて。
    ☆ラッキー・スポット☆スーパー
  • 獅子座 7/23-8/22
    生理整頓。物は元の場所へ戻す習慣を。
    ☆ラッキー・スポット☆映画館
  • 乙女座 8/23-9/22
    当たり前はなく、感謝の気持ちを大切に。
    ☆ラッキー・スポット☆本屋
  • 天秤座 9/23-10/23
    逃げの気持ちを捨て、前進してこそ。
    ☆ラッキー・スポット☆デパート
  • 蠍座 10/24-11/21
    嫌われ役が実を結びます。 自信持って。
    ☆ラッキー・スポット☆美術館
  • 射手座 11/22-12/21
    愚痴や文句だけじゃ、何も変わりません。
    ☆ラッキー・スポット☆カフェ
  • 山羊座 12/22-1/19
    イメージチェンジで、明るく楽しく。
    ☆ラッキー・スポット☆海岸
  • 水瓶座 1/20-2/18
    コミュニケーション不足を、解消しよう。
    ☆ラッキー・スポット☆図書館
  • 魚座 2/19-3/20
    苦手意識から、一歩踏み出してみて。
    ☆ラッキー・スポット☆公園

編集後記

3/11(金)午後、国内観測史上初の大型災害『東北地方太平洋沖地震』がありました。被災された方々にはお見舞いを申し上げます。またお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り致します。被災地の方々に少しでも早く、多くの支援が行き渡りますように、祈る事しかできません。募金や私達に出来る支援で少しでも支になればと思います。