1. 難病情報誌 アンビシャス 288号

難病情報誌 アンビシャス 288号

最終更新日:2026年04月30日

表紙は語る

支えられた経験が、今の自分をつくる

眞田 規行(さなだ のりゆき)さん
潰瘍性大腸炎

 これまで日常生活の中で「難病」と深く関わる機会はほとんどありませんでした。私にとって最初に難病を身近に感じたのは、今から十数年前、当時の内閣総理大臣であった安倍晋三氏が潰瘍性大腸炎の悪化により辞任したという報道に触れたときだったように思います。しかし、その時点ではまだ「自分とは遠い存在」であり、現実の問題として捉えることはできていませんでした。
 私は16歳で教育関係の会社を起業して以来、学習塾の塾長、小学校・中学校の教職員、そして子ども食堂の代表として、約31年にわたり子どもたちと関わる仕事を続けてきました。今から約10年前、塾に通っていた一人の生徒が激しい腹痛に悩まされるようになり、福島県立医科大学附属病院への入退院を繰り返すようになりました。診断名はクローン病という難病でした。恥ずかしながら、当時の私はその病名すら聞いたことがなく、インターネットで調べて初めて、口から肛門までの消化管に炎症が起こる病気であること、腹痛や下痢などの症状があることを知りました。
 しかし、症状を理解しても、どのように接するべきかは分からず、自問自答の日々が続きました。その生徒が高校受験を迎えた際、志望校として福島県立福島工業高校の定時制課程を選びました。理由を尋ねると、クローン病の治療のため昼間は通院が必要であり、夜間であれば通学できるからだということでした。彼は困難な状況の中でも努力を重ね、無事に入学し、そして昨年3月に卒業しました。その間の努力は新聞でも何度も取り上げられ、多くの人に勇気を与えました。
 その後、縁あって平成29年度から令和3年度まで、二本松市内の小学校・中学校に勤務する機会をいただきました。知的障害や発達障害のある児童・生徒、不登校の生徒を担当し、特別支援教育の現場で多くの学びを得ることができました。この経験は、今でも自分の大切な財産となっています。
 しかし、その在職中に新型コロナウイルス感染症が拡大し、子どもたちも教職員も大きなストレスを抱える日々が続きました。そんな中、私は教育委員会との間で軋轢が生じ、長時間にわたる厳しい聴取を受けることになりました。それは心身ともに大きな負担となり、その日の夜、これまで経験したことのない下血が起こりました。さらに、新型コロナウイルスの濃厚接触者となり、自宅待機も重なりました。
 当初は一時的な体調不良だと思っていましたが、下血はその後も毎日続きました。「このままではいけない」と感じ、約1週間後に退職を決意しました。その後、同級生の医師がいるクリニックを受診し整腸剤を服用しましたが改善せず、紹介を受けて郡山市の医療機関で大腸内視鏡検査を受けることになりました。本来は1か月待ちでしたが、偶然キャンセルが出て翌日に検査を受けることができました。
 検査の結果「中等症の潰瘍性大腸炎(右側大腸炎型)」と診断されました。モニターに映し出された腸内には複数の潰瘍があり、その光景は今でも忘れられません。医師からは、発症の一因として強いストレスが考えられると言われ、あの時の出来事が大きく影響していたのだと実感しました。
 その後は服薬治療により下血は治まりましたが、下腹部の痛みは現在も時折続いています。生活についても見直しを行い、過度なストレスを避けながら、自分の裁量で働ける学習塾と子ども食堂の運営に再び専念することにしました。
 潰瘍性大腸炎は一般的にコーヒーやアルコールの摂取を控えるべきとされていますが、私は体調と相談しながら現在も楽しんでいます。ただし、脂っこい食事、特に肉類は症状を悪化させるため控えるようにしています。このように症状や影響は人それぞれであり、同じ病気でも生活スタイルは大きく異なります。
 日常生活では常にトイレの場所を確認する習慣が身につきました。外出時や電車に乗る際には事前に確認し、トイレのない交通手段は避けるなど、多くの制約を感じながら生活しています。こうした経験を通して「他の難病患者はどのように生活しているのだろう」と考えるようになりました。
 その思いから、約2年前より保健所や福島県難病相談支援センターが主催する当事者の交流会に参加するようになりました。そこで多くの難病と出会い、それぞれの工夫や苦労を知る中で「つらいのは自分だけではない」と感じるようになりました。そして同時に「当事者である自分だからこそできることがあるのではないか」と考えるようになりました。
 令和6年5月には、難病当事者を中心に設立された団体「みらいへつなぐカフェ」(現在は休会)に副代表として関わりました。活動を通じて、医療や福祉、災害時の支援体制などについて議員や行政職員から多くの助言をいただき、また多くの当事者やその家族と出会うことができました。これらの経験は、自分自身の視野を広げる大きな財産となっています。
 そして令和7年4月からは、福島県難病相談支援センターの相談支援員として勤務し、あわせて福島県難病・疾病団体連絡協議会の理事も務めています。かつては「支えられる側」であった自分が、「支える側」として関わる立場になったことに、不思議な巡り合わせと大きな責任を感じています。相談の現場では、不安や孤独を抱える方々と向き合いながら、「自分の経験が誰かの力になれば」という思いで日々の業務に取り組んでいます。
 しかし、令和7年の夏頃、疲労の蓄積もあったのか、病状が再燃しました。落ち着いていた体調が再び揺らぎ、思うように身体が動かない日々に、不安や焦りを感じることもありました。薬の種類も増え、治療と仕事、日常生活のバランスを取る難しさに直面しました。
 それでも、以前の自分と違うのは「一人ではない」と実感できていることでした。これまで出会ってきた多くの当事者の方々の言葉や姿、支えてくださる医療関係者、仲間の存在が、何度も自分を前に進ませてくれました。再燃という現実を受け止めながらも「それでもまた歩き出せばいい」と思えるようになったのは、これまでの経験の積み重ねがあったからだと感じています。
 潰瘍性大腸炎と診断されてから4年半が経ち、現在は寛解状態を維持しています。しかし、再燃の不安と隣り合わせであることに変わりはありません。それでも、この病気と向き合う中で得た出会いや経験は、私の人生にとってかけがえのないものとなりました。
 難病は、ときに人生の歩みを立ち止まらせます。しかしその一方で、人とのつながりや新たな役割、生き方を見つめ直す機会も与えてくれます。病気になったことは決して望んだことではありませんが、この経験があったからこそ出会えた人々、そして見えるようになった景色があります。
 これからも再燃と寛解を繰り返しながらの人生になるかもしれません。それでも歩みを止めることなく、一歩一歩前に進んでいきたいと思います。そして、同じように悩みながら生きている誰かにとって「一人ではない」と感じられる存在であり続けたい。その思いを胸に、これからも歩み続けていきます。

語者プロフィール

眞田 規行(さなだ のりゆき)さん
昭和54年3月生まれ、47歳
中学生の時に、生徒会長を務めながら不登校を経験。高校では、学級委員長を務めながらも半年で中退。
その後16歳で学習塾を起業し、大学で心理学を専攻。小学校、中学校音楽(声楽専攻)教員免許を取得後、小学校、中学校で勤務を経験。現在は学習塾、子ども食堂を運営し、福島県難病相談支援センター相談支援員も務める。
【趣味】温泉巡り、カフェ巡り、音楽鑑賞。
【好きな音楽】大地讃頌
【お気に入りのシンガーソングライター】Kumajiro 

  • 表紙

  • 地域で活躍する人から話しを聞くという特別授業にて、子ども食堂の代表として講話。

2026年3月の報告あれこれ

県難病医療連絡協議会への参加

  3月5日「沖縄県難病医療連絡協議会」が、拠点病院である琉球大学病院で開催されました。 医療機関からは、難病拠点病院および協力病院(12施設)、訪問看護ステーション協議会、介護福祉士会、公共職業安定所(ハローワーク)、保健所長会などが参加し、報告・協議・意見交換が行われました。
 報告事項では、琉球大学病院とと沖縄病院から「難病医療提供体制整備事業」および「難病患者一時入院事業」の実施報告がありました。また、アンビシャスからは「難病相談支援センター事業」の実施状況を、沖縄県からは「指定難病受給者証の交付状況」「各保健所での講演会・研究会」について報告がありました。
 協議事項では、北部圏域から中南部の医療機関へ通院する際の高額な交通費負担が課題として挙げられ、北部への専門医配置の検討依頼がありました。あわせて、今後開設される公立沖縄北部医療センターへの期待を寄せる発言もありました。 当センターからは、指定難病のオンライン申請導入についての提案を行いました。
 最後に、ヘルパー不足の問題について協議され、特に重度訪問介護の報酬単価が低いために事業所が減少し、患者が困窮している現状が共有されました。

コミュニケーションツールの導入


 今月は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者さん6名に対し、コミュニケーション支援を行いました。北部や宮古島などの離島・遠隔地の患者さんへの訪問は叶いませんでしたが、保健所の保健師や訪問リハビリのスタッフが自宅を訪問し、アンビシャスからはオンラインで参加。患者さんの状態確認や、スイッチ機器などの選定・調整に関する助言を行いました。
 機器の無料貸し出しのみについては、ALS、多系統萎縮症(MSA)と進行性核上性麻痺(PSP)の患者さん各1名に対し、訪問看護ステーションなどの支援を通じて実施しています。
 主な要望は「家族との意思疎通」ですが、独居の方も複数名おられ、緊急時の呼び出し(SOS)で訪問看護ステーションや訪問診療医につながる機器へのニーズも高まっています。また、家族が行事で県外へ行かれるタイミングなど、一時的な導入依頼もあります。
 ALSの診療経験がない医療関係者も多く、病状の進行に合わせたスイッチの形状選択や設置場所の評価は容易ではありません。そのため、当センターへの相談が増加する傾向にあります。今後、支援者向けの研修会を開催するなど、地域全体のスキルアップを図る機会を増やしていく必要があります。

難病患者交流会

 3月25日にオンライン上で難病患者交流会を行いました。参加者はオンラインにより宮古からも入られていて、疾患の枠も超えて交流することができています。定期的な交流会ということもあり、お互いの近況を話したり、2025年度の最後に1年を振り返り年度最後の会を閉じました。病気と共に過ごす日々は、調子のいいときも悪いときもあり、こうした変化があるなかでもお互いの情報や気持ちを交流会では共有しています。2026年度も「難病ゆんたく会」は一月に1度予定しています。
 5月は21日(木)16時からです。気軽に参加できる会ですので、ご連絡いただけましたら幸いです。

保健所スケジュール

各保健所、今月の予定はございません。

【北部保健所】  Tel:0980-52-2704
【中部保健所】  Tel:098-938-9883
【南部保健所】  Tel:098-889-6945
【那覇市保健所】 Tel:098-853-7962
【宮古保健所】  Tel:0980-72-8447
【八重山保健所】 Tel:0980-82-3241

令和8年度【7月開講】障がい者委託訓練生募集

【募集期間:令和8年5月1日(金)~25日(月)】
【訓練期間:令和8年7月1日(水)~令和8年9月30日(水)】(3ヵ月間)

コース名:リネン類クリーニング科(実践)
定員:3名
管轄校:具志川校
募集対象:知的障害、精神障害、発達障害、その他(高次脳機能障害、難病等)
訓練場所:中城村
委託先:沖縄綿久寝具株式会社(中城工場)

コース名:CADオペレーター養成科(知識)
定員:4名
管轄校:具志川校
募集対象:身体【上肢・下肢(車いすの方要相談)内部障害、聴覚(要相談)】精神障害・発達障害・その他(高次脳機能障害、難病等)
訓練場所:中城村
委託先:有限会社ビーンズ

※受講料無料(但し保険料は自己負担、知識訓練においてはテキスト代、各種資格検定料等においても別途必要です。)
※詳しくは、各管轄校へお問合せください。
【お問合せ先】
具志川職業能力開発校
TEL:098-973-6680

難病の日イベント:出張相談会のご案内

 5月23日は難病の日です。患者や家族の思いを多くの人に知ってもらう機会とするのが目的です。
 今回は琉球大学病院にて難病相談員や、難病患者会、難病ピアサポーターが出向いた相談会を実施します。難病と診断された後、誰かに話しを聞いて欲しいと思うことはありませんか?働き方のことや食事のこと、日常生活で困ったことなど、相談する機会となりましたら幸いです。

【場所】琉球大学病院 3階 エントランスホール
【日時】5月22日(金)11時~14時
【対象者】難病患者本人、難病患者家族、難病患者支援者
※琉球大学病院に通院されていない方もご参加いただけます。
【主催/お問合せ先】沖縄県難病相談支援センター(認定NPO法人アンビシャス)

【出張予定患者会】
・沖縄クローン病・潰瘍性大腸炎友の会
・沖縄県網膜色素変性症協会
・PSP・CBDのぞみの会九州・沖縄地区
・HAMとも(HTLV-1関連脊髄症)

【出張予定難病ピアサポーターの方の疾患名】
クローン病/潰瘍性大腸炎/網膜色素変性症/パーキンソン病/視神経脊髄炎/全身性強皮症
※出張予定をしている相談員が、体調不良等で急遽欠席となる場合はご了承ください。

こころの現場から

疑似科学には注意

鎌田依里

臨床心理士 鎌田 依里(かまだ えり)

 今回は少し専門的な引用をします。櫻井武(2018' p190)は「セロトニンとは、トリプトファンから生成され、脳幹の縫線核という部分に存在するニューロンによって産生される。抗うつ剤として広く使用されているSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、脳内でセロトニンの作用を強める薬物である。このことからわかるように、セロトニンも気分に大きな影響力を持っている。しかし、ときに世間でセロトニンが『安心のホルモン』とか『幸福感のホルモン』などと謳われ、セロトニンを増やすにはどうしたらいいかなどの記事がメディアに散見されることもあるのは、端的に言って根拠のない疑似科学である」と述べています。
 このように人は、医学的または科学的に根拠のない疑似科学を信じてしまうことが多々あります。人は、孤独な時や弱っている時や選択に迷いが生じている時などには「一見論理的に説明しているように見える」「都合の良い」ものに飛びついてしまう傾向があります。また、最初は自分が見聞きして「ちょっと疑わしい」と思う事項でも、個人からの情報ではなくメディアなど大衆宛に発信している情報に複数回触れると、自分の信念が揺らぎ、メディアの言っていることを信じてしまうこともあります。
 難病は個別性が高く、同じ病名だからといって、同じような状況にはならないこともあります。だからこそ、自分の身体のことは主治医とよく話し合える環境をつくることが大切です。また家族も、患者本人と主治医との意見をしっかりと聞き、状況を判断し、適切かつ協力的な環境を作ることが大切です。

引用文献;櫻井武(2018)「こころ」はいかにして生まれるのか―最新脳科学で解き明かす「情動」.BLUE BACKS.

つぶやきチャンプルー

想いを「あきらめない」ために、早めの準備を

照喜名通

著:照喜名通

 神経難病が進行すると、多くの医療・介護スタッフが関わるようになります。私たちが相談を受ける中で特に多いのが、「コミュニケーション支援」と「吸引器」についてです。声が出せなくなったり、筆談が難しくなったりしても、家族と疎通を図ったり、SNSで社会とつながることは生きていく上でとても大切です。しかし、いざ意思伝達装置を導入しようと思っても、申請から手元に届くまで半年ほどかかることも少なくありません。だからこそ「まだ話せるうちに」早めに機種を選び、申請を進めることが重要です。
 中でも最優先すべきは「苦しい」「助けて」といった緊急時のSOS発信です。
 こうした機器を動かすには「スイッチ」が必要ですが、体の動き(進行具合)に合わせて最適なスイッチを選ぶには専門的な知識が求められます。残念ながら、まだ熟練した支援者が不足しているのが現状です。
 アンビシャスでは、各種スイッチや装置を豊富に取り揃えています。「自分にはどの機種が合うのか?」「今の指の力で押せるスイッチは?」こうした悩みに応えるため、訪問リハビリスタッフ等と協力し、実際に試しながら評価を行います。既製品が合わなければ、半田ごてを手に取ってオーダーメイドで工作することもしばしばです。
 これらのお試しや貸し出しが無料で行えるのは、皆様からの温かいご寄付のおかげです。まずは「伝えること」をあきらめる前に、お気軽にご相談ください。

シリーズ 「患者学」第133回

医療情報を調べようとすればするほど不安になるのは

慶應義塾大学 名誉教授 加藤 眞三著

ネットでの情報検索

 病院で診断名を告げられた夜、ひとりでスマートフォンやパソコンで自分の病気について検索します。最初は軽い気持ちでみていたのに、気がつけば次から次へと気になる言葉に目がとまりページを開くことになります。
 まれに重症化することがあります」、「○○の症状がある場合には要注意です」そんな一文を読むたびに、不安が膨らみます。「もしかすると、自分は思っていた以上に重い病気なのではないか」と考えてしまいます。
 このような経験は、決して特別なものではなく、現代に生きる人では、多かれ少なかれもっているものです。

ネット検索による不安はあなたのせいではない

 インターネットを開けば、症状の説明、病気の解説、治療法、薬の副作用、体験談など、あらゆる情報がすぐに手に入ります。しかし「調べれば調べるほどに不安になってしまう」と感じている人も多いのではないでしょうか。
 不安になるのは、あなたのせいではないし、あなたが弱いからでもありません。人はもともと、自分の身の危険に関する情報に対して敏感に反応するようにできています。たとえば「多くの場合、問題ありません」との表現よりも「まれに重症化することがあります」という一文のほうが、強く印象に残ります。
 これは人間が生き延びるために必要な資質でもあるのです。危険を見逃さないことは、生存のために大切な能力なのです。

ネット上の情報の性質にも問題がある

 また、ネット上に発信されている情報にある程度偏りがあります。ネット上では、珍しいケース、重症例、強い体験などが、目立ちやすくなっています。なぜなら、人はそのような強い情報に反応しやすく、そんな情報を拡散しやすいからです。極端の例を述べて不安をあおれば、記事を見てくれる人が増えるからと意図的にそうする人がいます。結果として、本来は珍しい出来事が、ネット上では目につき易く、あたかも一般的なことのように感じられてしまいます。

「正しいかどうか」だけが問題ではない

 医療情報については「それが正しいかどうか」がよく問題にされます。もちろん、誤った情報は論外であり、それを避ける必要があります。しかし、もう一つ重要な問いがあります。それは「その情報は、今の自分に当てはまるか、必要な情報か」という問いです。
 同じ病気であっても、年齢、身体の状態、生活状況、価値観など各人異なります。したがって、統計的に正しい情報であっても、そのまま自分に当てはまる情報とは限りません。医師から伝えるときには、そのような不必要な情報は最初から削除されているのです

情報と、どう距離を取るか

 では、どうすればよいのでしょうか。ここで必要なのは、情報を得るのをやめるのではなく、情報と適切な距離をとることです。たとえば、これについてはすぐに結論を出さない、一度検索をやめてみる、その上で誰か他の人にも話してみるなど、小さな工夫だけでも、不安は少し和らぎます。
 そして何より大切なのは、自分の現実に戻ることです。今、自分の体はどう感じているのか。生活の中で何に困っているのか。ネット情報ではなく、自分の実感を出発点にすることで、自分の医療との関わりを取り戻すきっかけになります。
 得られた情報だけで医療は完結するものではありません。最終的には、医療者と対話する、家族や同病の人とも一緒に考えるなどの過程の中で、その人に合う判断が形づくられます。

最後に

 ネット検索で不安になるとき、私たちはつい「もっと調べれば安心できるはずだ」と考えてしまいます。しかし、実際に必要なのは情報の量ではなく、質であったり、情報との距離感です。そして、医療者との関係、周りの人との関係、そして自分との関係性に向き合うことです。そのことに気づき、少しでも余裕が生まれたとき、不安は静かに形を変えていくのではないでしょうか。

慶応義塾大学看護医療学部
名誉教授 加藤 眞三
慶應義塾大学名誉教授。上智大学グリーフケア研究所研究員。
患者と医療者の協働関係を作り上げることをテーマに公開講座「患者学」や著作 等を通じ、患者も自ら積極的に医療に参加する啓発活動に取り組む。

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出版社:春秋社

患者団体からのおたより

PSP・CBDのぞみの会九州沖縄地区(進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症)より
「患者・家族の顔合わせと情報交換会」のご報告

 3月15日午後1時から4時迄、沖縄県総合福祉センター会議室で初めての沖縄県内交流会を開催いたしました。
 参加者は、ご家族の会員1名、非会員1名でした。最初に、お互いの自己紹介の後、ざっくばらんにお話頂きました。
 ご本人が健康な頃から受診、診断に至るまでのご家族の見守りと付き添い、生活とお仕事との両立、病気の現在の状況、家族間の関係性、現在と将来の不安、施設探し、利用できる公的制度などに話が広がり、気が付けば約2時間こうした話題でお話をしました。
 少人数では、話題が尽きるのではないか、心配しましたが、同じ家族という立場の人と話しが出来る事が良かったとのご感想を頂き、交流会を開催してよかったと思いました。
 次回は今年秋に名護市内で開催を計画しており、年に2回ほど県内で開けたらと考えています。情報交換は、少しでも多くの同病の方が参加することで、得られる情報が増えるものです。また改めてご案内いたしますので、その機会にぜひご参加ください。

今月のおくすり箱

サプリメントとお薬の飲み合わせについて

白坂 亮

沖縄県薬剤師会 白坂 亮

 普段摂取しているサプリメントが実はお薬との飲み合わせに問題を生じさせる場合があります。その一例をご紹介したいと思います。
 まずはセントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)です。これは気分などを改善する効果が期待できる植物ですが、飲み合わせにより一部の薬の効果を弱めてしまうことが報告されております。薬局やコンビニなどで販売されており、定期的な服用薬がある方で購入を検討されている方は一度薬剤師に相談されてみてはいかがでしょうか。
 その他に注意が必要なものとして、カルシウムや鉄分を補給するサプリメントです。これらのサプリメントはミノサイクリンなど一部の抗生物質と一緒に服用すると体に吸収されにくくなることが分かっています。そのため本来の治療効果を得られなくなることもあるため注意が必要です。
 また、血液をサラサラにするお薬である抗凝固薬とビタミンKの飲み合わせにも注意が必要です。この2つの組み合わせにより、血液をサラサラにする効果が弱くなってしまいます。ビタミンKはサプリメントで摂取する以外にも、納豆やほうれん草、青汁などの食品にも豊富に含まれています。飲み合わせについて気になる方は医師、薬剤師へご相談ください。

アンビシャス広場

アンビシャスからの大切なお願い
アンケートにご協力ください

 毎月お届けしております「難病情報誌アンビシャス」のよりよい紙面づくりのために、今月号にアンケートを同封しています。お手数ですが、アンケート記載のQRコードあるいは、ファックスにてご回答、ご協力くださいますようお願いいたします。

アンケートのご回答方法

①スマートフォンからのご回答
紙面同封のアンケート用紙に記載のQRコードからご回答・送信お願いいたします。

②ファックスからのご回答
同封のアンケート用紙にご回答いただき記載の番号へファックス送信お願いいたします。

エッセイ休載のお知らせ

毎月掲載中の「エッセイ」は、都合によりしばらくの間おやすみさせていただきます。

お勧め映画/DVD情報

1)ランペイジ 巨獣大乱闘 2018年作
ゲノム編集の実験を行っていたが、動物実験でミスをし、巨大化した動物たち。恐竜モノやキングコングが好きな人は好みだろう。

2)グランツーリスモ 2023年作
同タイトルは、レーシングシミュレーションゲームに夢中の少年が、本物のレーサーになれるのか?実話を元にした作品である。

3)鉄道運転士の花束 2019年作
養子である息子と初老の父親。父親に憧れ鉄道運転士になるのが夢だが、反対される。ブラックジョーク的な作品となっている。

4)涙のメッセンジャー 14歳の約束 2015年作
第2次世界大戦中のアメリカ。父を亡くし、兄が従軍中の少年は、生活のためにバイトをしている。平和への祈りを願う作品。監督はメグ・ライアンが努め、兄役は彼女の実子。

★渡久地 優子{進行性骨化性線維異形成症(FOP)}★

今月の占い

  • 牡羊座 3/21-4/19
    寝不足に注意を
    ☆リフレッシュ法:読書
  • 牡牛座 4/20-5/20
    人付き合いも程々に
    ☆リフレッシュ法:睡眠
  • 双子座 5/21-6/21
    健康的な食事を
    ☆リフレッシュ法:スキンケア
  • 蟹座 6/22-7/22
    挨拶を大事に
    ☆リフレッシュ法:飲食
  • 獅子座 7/23-8/22
    時間の使い方に注意
    ☆リフレッシュ法:歌唱
  • 乙女座 8/23-9/22
    心前向きさの思考を
    ☆リフレッシュ法:買物
  • 天秤座 9/23-10/23
    後悔より反省を
    ☆リフレッシュ法:お風呂
  • 蠍座 10/24-11/21
    楽しむ時間を
    ☆リフレッシュ法:談笑
  • 射手座 11/22-12/21
    過信に気をつけて
    ☆リフレッシュ法:音楽鑑賞
  • 山羊座 12/22-1/19
    冒険心やチャレンジを
    ☆リフレッシュ法:散歩
  • 水瓶座 1/20-2/18
    他人も自分の鏡
    ☆リフレッシュ法:TV・動画鑑賞
  • 魚座 2/19-3/20
    怒りを抑えて
    ☆リフレッシュ法:掃除

編集後記

 5月号の「表紙は語る」は、潰瘍性大腸炎を罹患されている、福島にお住いの眞田規行様からご寄稿いただきました。
 ご自身が難病と対峙されるまでの経緯は、まだ遠い存在として難病である塾の生徒さんと向き合うために調べたインターネットの情報に始まります。
 ご自身が難病と診断され、福島の難病相談支援センターで患者である支援員として不安に思う方々のサポートと、段階を追ってより深く身近な疾患として支援することを大切にされる様子が伝わってくる内容でした。
 病気になると、とかく自分のことで精一杯になることが多いものですが、難病患者だからこそ分かる心の機微までを相談者に向けておられるように感じます。
 これからも、ご自身の体調にも配慮いただきながら、多くの患者の方々の支えとなられることを切に願っています。
 年度も変わり、これから多くの患者団体が総会や医療講演会、交流会のといった予定をスタートされると思います。8ページにはこうした情報をまとめて掲載していますので、参加される際の参考にしていただければ幸いです。
 アンビシャスにとっても、変化のある年になりそうです。その変化は皆様のご理解をいただく必要のあるものもあるかと思います。「柳に風」のように変化を柔軟に受け止め乗り切っていきたいと思います。

文 伊佐真一郎