1. 難病を持って働くことの、5つの誤解

難病を持って働くことの、5つの誤解

難病を持って働くことの、5つの誤解

 難病医療の進歩により、難病の多くが慢性疾病化し、その状態像を大きく変えている一方で、依然として従来からの「難病」のイメージによる誤解もまだ残っています。「難病では働けない。働かせることはできない」との思い込みによって、そんなつもりはなくても、職場などで、難病のある人たちが孤立無援な気持ちになってしまうこともあります。

  体調管理と両立して職業人として活躍していくために、多くの難病のある人たちが経験している困りごとはどのようなものか、どのような雇用管理や地域支援が必要なのか。難病のある人数千名の就労実態に関する調査結果等から、難病就労支援のポイントが明らかになっています。 
誤解

難病は重症の疾病で就労は難しい?

事実

医療の進歩により、多くの難病は慢性疾病化している

 「難病」というと「寝たきり」「働けない」と思われてしまうこともありますが、難病医療の近年の進歩は著しく、実際には、難病の慢性疾病化が急速に進んでいます。多様な症状のある疾病の治療を続けながら職業生活を含む普通の日常生活を送ることができる人が増えています。
医療の進歩により、多くの難病は慢性疾病化している

誤解

難病のある人で働いてる人はほとんどいない?

事実

治療との両立を課題としつつ、半数近くが仕事に就いている

 わが国では現在、身体的負担が少なく、休憩や通院がしやすい仕事内容や就労条件が多くなっており、症状が安定してきた難病のある人の多くは実際に何らかの仕事に就いています。その一方で、体調の 崩れやすさ等があっても外見から分かりにくいこと等から、仕事内容や通院・休憩等の時間が十分に取れないことなどに悩み、仕事を辞める人もいます
医療の進歩により、多くの難病は慢性疾病化している
誤解

「難病」で仕事が困難なのは当たり前で、仕方がない?

事実

必要な配慮を行うことによって、治療と就労の両立は可能になっている

 わが国には、現在、体調の崩れやすさ等を抱えながらも治療と就労の両立を可能とする仕事の選択肢が多くあり「難病だから働けない」ということはなく、通院、休憩時間の確保、業務調整等の 必要な配慮を行うことによって、治療と就労の両立は可能になっています。
医療の進歩により、多くの難病は慢性疾病化している
誤解

難病のある人の雇用や配慮は事業主の負担が大きい?

事実

通院や休憩等への常識的な理解・配慮がポイント

 難病のある人の雇用管理の一番のポイントは「難病では働かせられない」「難病のある人への職場での配慮は大変」という先入観をもたないこと、と言っても過言ではありません。雇用管理の基本は、職場の仲間として本人 の自己管理を応援し、職業人として活躍してもらうことであり、その具体的内容は、月1回程度の定期的通院への配慮、適度な休憩、体調的に無理のない仕事を本人と話しあって調整する等、事業主の負担が大きなものでは ありません。
誤解

就労支援は、労働関係機関だけが行うもの?

事実

治療と就労の両立を地域の関係機関が連携して支えることが重要

 難病のある人が、無理なく治療と就労を両立できる仕事に就き、職場定着ができるようにするために、難病の専門医や医療ソーシャルワーカー、難病相談支援センター、保健所等からの医療面 での情報提供や助言、サポートが不可欠です。それらと密接に連携し、ハローワーク、障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター等は、本人の興味・適性等を発揮して活躍できる仕事に 就くための職業相談、職業紹介、職場適応の支援等及び雇用管理ノウハウの助言や様々な制度による事業主支援等により、難病のある人を就職前から就職後まで支えています。

(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター©
「難病のある人の就労支援のために(第2版)」より
(外部リンクで参照可能)